冷徹皇子の夜伽番 ──童貞を奪うのは私の役目?──
ついに国王まで苛立ちを隠せなくなった。

「結婚を間近にしても、女一人知らぬとは……アルベールは何をやっているんだ!」

側近たちの前でそう嘆いたものの、肝心の皇子本人を前にしては口にできない。

誰もが冷徹な殿下を恐れていた。

その一方で、王宮内ではこっそりと試みもなされた。

何人かの侍女が夜更けに皇子の寝室へ忍び込んだのだ。

噂を信じぬ令嬢たちもまた、偶然を装って殿下の部屋へと近づいた。

だが――誰一人、相手にされることはなかった。

冷ややかな眼差しを受け、皆、逃げるように去っていくしかなかったのだ。

「そこまでして女を遠ざけるとは……誰か好いた相手でもいるのか?」

国王が吐き捨てるように言った時、アルベール皇子の視線が一瞬だけ揺れた。

ちらりと向けられたその眼差しの先にいたのは――私。

けれど、まさか私などが殿下の特別であるはずがない。

ただの専属侍女にすぎない身で、殿下の胸の内を勝手に推し量るなど恐れ多いことだった。

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