無口な人魚姫と粗暴な海賊
5話
宝石箱をひっくり返したような星が夜空に浮かぶ頃。
お行儀悪く組んだ両足を木製のテーブルに投げ出したダリオスは、眉間にシワを寄せながら書類に目を通していた。
その理由は明白だ。
なぜならその書類は、次に潰そうとしている同業者の悪事が書かれたものだからである。
港町の民家の宝石を盗んだくらいであれば、ダリオスもこんな顔をしない。
しかし、この書類に記載された海賊たちはダリオスが険悪な表情を浮かべるほど、酷いものだった。
どうやって潰してやろうか。そんなことを考えていると、不意にコンコンとノック音が響く。
その音は控えめで、ダリオスはすぐに誰だかわかった。
血気盛んな連中が多い中で、こんなに控えめな奴はこの船に一人しか居ないーーと。
「入れ。」
少し古い木製の扉がキィーと音を立てる。
静かな室内にコツコツとヒールの音が小さく響く。
少女が目の前に来たタイミングで、ダリオスは書類から視線を外し、少女へと目を向けた。
「お呼びでしょうか。ダリオス様。」
水色の肩につくくらいのふわふわの髪。
キリッとした青色の瞳。
頭からは真っ白な猫耳。
尾骨あたりから覗く真っ白な尻尾。
人の姿をしていながら、人間とは少しかけ離れた容姿を持つ少女。
その正体は、獣人族(ネコ科)と呼ばれる種族だった。
そんな少女を当然の様に受け入れているダリオスは、悠然とした笑みを浮かべて告げる。
「ミーシャ。仕事だ。」
お行儀悪く組んだ両足を木製のテーブルに投げ出したダリオスは、眉間にシワを寄せながら書類に目を通していた。
その理由は明白だ。
なぜならその書類は、次に潰そうとしている同業者の悪事が書かれたものだからである。
港町の民家の宝石を盗んだくらいであれば、ダリオスもこんな顔をしない。
しかし、この書類に記載された海賊たちはダリオスが険悪な表情を浮かべるほど、酷いものだった。
どうやって潰してやろうか。そんなことを考えていると、不意にコンコンとノック音が響く。
その音は控えめで、ダリオスはすぐに誰だかわかった。
血気盛んな連中が多い中で、こんなに控えめな奴はこの船に一人しか居ないーーと。
「入れ。」
少し古い木製の扉がキィーと音を立てる。
静かな室内にコツコツとヒールの音が小さく響く。
少女が目の前に来たタイミングで、ダリオスは書類から視線を外し、少女へと目を向けた。
「お呼びでしょうか。ダリオス様。」
水色の肩につくくらいのふわふわの髪。
キリッとした青色の瞳。
頭からは真っ白な猫耳。
尾骨あたりから覗く真っ白な尻尾。
人の姿をしていながら、人間とは少しかけ離れた容姿を持つ少女。
その正体は、獣人族(ネコ科)と呼ばれる種族だった。
そんな少女を当然の様に受け入れているダリオスは、悠然とした笑みを浮かべて告げる。
「ミーシャ。仕事だ。」