無口な人魚姫と粗暴な海賊
「アンタはほんとおもしれぇな。」


 叩かれたのに笑っているダリオスが不思議でパールが首を傾げる。

 ダリオスが全面的に悪いため、パールが怒られる筋合いない。

 しかし、普通は叩かれたら怒ったり、謝ったりするのでは無いのだろうか?

 

 一通り笑ったあと、ダリオスがパールの頭を一撫でしてから立ち上がる。

 パールとは違う大きくてゴツゴツとした手。

 でも、手つきはとても優しくて、温かい。

 パールが視線を上げるとダリオスの目とぶつる。

 パールを見つめるダリオスの目付きはやっぱり鋭い。

 それでも、パールの顔を映すダリオスの瞳はとても柔らかかった。


 ダリオスがパールから視線を外して、背を向ける。
 手を顔の位置まで上げるとひらりと手を振った。


「いい子で待ってろよ。」


 ダリオスの顔はもう見えない。

 少し面白がるような声色から、パールのことを揶揄っていることはわかった。


 それでもパールは何も言わずに、ダリオスが扉を閉めるまで見つめ続けた。
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