無口な人魚姫と粗暴な海賊
6話
太陽が水平線から顔を出し、一日の始まりを告げる。
ゆらゆらと揺れる水面が太陽の光を反射させ、キラキラと輝く。
目が潰れそうなほど眩しい光。希望に溢れ輝きを纏っているような錯覚を覚えるほどの美しい光景。
水面から顔を出したあの時と、船に乗って窓から眺めている今この瞬間でさえも、水面は変わらない輝きを放っているのだとパールは改めて実感した。
いつも起きる時間より早い時間に目が覚めた時は、輝く水面を眺めるのが、パールの日課だ。
それは、ここに来てからも変わらない。
水面から見る景色も素敵だったが、窓越しに見る景色も変わらず美しいのだと知った。
パールはいつも一人で輝かしい景色を見ていた。
絶望しかないのではないかと思うくらいつまらない毎日。
一番上の姉だけはパールを気にかけてくれたが、家族と違う髪色を持ったパールを他の家族は受け入れてはくれない。
無視されるのは当たり前だった。
口を開けば返ってくるのは罵声だった。
名前すら呼ばれなくなった。
食事さえも一緒に食べてはくれなかった。
そうしていつからか、家族から愛情を求めるのはやめた。
喋ることも、心を動かすことも、やめた。
でも、ダリオスと一緒にいる時間は穏やかだ。
喋ることを強要されることはない。
服を引っ張れば話してくれる。
食事も一緒に食べてくれる。
ダリオスといると、黒く淀んだ心が暖かく色づく感覚さえする。
パールと名前を呼ばれるのが嬉しい。
でも、ダリオスから姫さんと呼ばれるのも、アンタと呼ばれるのも、それはとてもダリオスらしくて、その呼び方もパールは好きだ。
ダリオスが優しくてくれるから、だろうか。
いつもは誰かと一緒に見たいと思わない。
でも、この時は何故かこの景色を一人で見るのは、勿体なくて、ダリオスと一緒に見たいとそう感じた。