無口な人魚姫と粗暴な海賊

7話

7話

 ダリオスは仕事があると出て行ってしまい、部屋にはパールとミーシャの二人だけ。

 お世話役をつけられたことがなかったパールは戸惑いながら、ミーシャの方を見上げる。

 ミーシャとパチリと目が合い、ミーシャが口角をあげた。

 先程から思っていたが、どうやらミーシャは控えめな女の子のようだ。

 笑い方は控えめで、話し方も落ち着いている。


「改めてよろしくお願いいたします。パール様。」

「……よろしく……。」


 とても小さな声だった。

 それでもミーシャの耳にパールの声は届いたのだろう。

 一瞬驚いた顔をしたものの、優しくふんわりと微笑む。

 とても。とても、優しい笑顔だった。

 先程の礼儀で浮かべていた微笑みとは全く異なる、素で出したような柔らかい表情。

 ミーシャの心に触れられた。そんなような気がしてパールの心もほんの少し温かくなる。


 もう少しミーシャと一緒に居たい。

 そう思ったパールは無言でミーシャの袖をちょんちょんと引っ張った。


「パール様。もう少し私のお話を聞いて下さいませんか?」


 パールの意図を察したミーシャが言う。

 話を聞いて欲しいと言ったのは、話したくないパールへの配慮だろうと分かる。

 出会ってまだ一時間程しか経っていない。

 けれど、今までのミーシャの言葉や悪意のない瞳を見ていれば、優しさで言ってくれているという確信が持てた。

 一時間で人を信用するのは良くないことかもしれない。

 でも、ミーシャは信用しても大丈夫だと直感で感じる。


 それに――。


 ダリオスが連れてきた相手だ。

 一番信用しているダリオスが連れてきた女の子。

 ダリオスが決めた世話役。

 それだけで、信用するには充分だった。

 信用している彼を信じることを咎める人はここにはいないのだから。
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