無口な人魚姫と粗暴な海賊
 パールは一度バスタブに張られた海水に頭まで浸かり髪を整えたあと、未だにゲラゲラと笑い続けているダリオスにまだ半分ほど残っているシャボン液を持って近づく。

 先程より、たくさんシャボン液をつけたあとパールはダリオスの顔を目掛けて一気にシャボン玉をお見舞した。

 パールの手によって生成された、たくさんのシャボン玉はダリオスの顔に当たっては次々と弾けていく。



 まさかパールにシャボン玉をぶつけられると思ってなかったのか、ダリオスが一瞬呆気にとられる。

 しかし、一瞬の瞬きのうちにダリオスの表情はいつもの何も恐れない不敵な顔に戻っていた。


「この俺に、こんなことして良いと思ってんのか?」


 口調こそ乱暴だが、ダリオスからはそこまでの怒気は感じられず、パールはコクコクと頷いた。


「俺も舐められたもんだな。まさか、アンタにそんなふうに思われてたなんて。
 だが、その程度の攻撃じゃあ俺のことは倒せないぜ。」


 そういうとダリオスは、今度はパールの濡れた頭を先程より優しく撫で始めた。

 ダリオスが何をしたいのか分からず、パールが首を傾げる。


「アンタの髪、撫で心地がいいからもうちょっとこうされとけ。」


 ダリオスの優しい手つきにパールもなんだか心が温かくなりしばらくの間、ダリオスに頭を預けるのだった。
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