無口な人魚姫と粗暴な海賊
 改めてテーブルいっぱいに並べられた料理を見る。

 海藻しか食べたことがないパールからしてみれば、どれも食べたことの無い料理ばかりで、目移りしてしまう。


「朝に出したパンは気に入ったか?」


 朝に出してくれたふわふわとした食べ物はパンと言うのかと、一日の終わりに差し掛かったところでようやく名前を知る。

 あれはとても美味しかったとコクンと頷く。


「そりゃ、良かった。朝アンタにやったのはロールパン。そんで、今ここに置いてあるのはクロワッサンだ。」


 ダリオスが先程パールに持たせてくれたお皿に、クロワッサンというパンが載せられた。


「それも美味いから食ってみろ。」
 

 パールが食べやすいように、ダリオスがお皿を持ってくれたのに対し会釈しつつ、両手でクロワッサンを持つ。

 一口かじると程よい甘みが口の中に広がった。

 朝のパンとは違い、外側がサクッとしていてとても美味しい。


「それも気に入ったみてぇだな。」


 そういいながらダリオスもクロワッサンに手を伸ばす。

 パールが何口にも分けてせっせとクロワッサンを食べている横で、ダリオスは二口でクロワッサンを平らげた。


 パールがクロワッサン終える頃には、ダリオスはクロワッサンを三個ほど平らげていた。
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