夜を繋いで君と行く
 1人前をたいらげ、律はふぅとゆっくり息を吐いた。怜花はテーブルの上に置いてあった薬の袋を手に取り、指示を読む。熱が下がらなかったときのための解熱剤ももらってきていたようだが、夜まで下がらなかったら使うことを検討しようと思い、それ以外の薬と水を律のところまで持っていく。

「はい。食後30分以内だからすぐ飲んで。んー…汗はそんなにかいてないみたいだから、寝て起きたら汗の具合見て着替えかなぁ。」

 律は怜花の指示通りに薬を飲んだ。

「こういう風邪のときって、風呂入ってもいいもんなの?」
「だめじゃないとは思うけど、熱でふらふらしてるときに無理して入らなくていいんじゃないかな。お湯に浸したタオルで体拭くとかでも少しすっきりすると思うけど。お風呂入りたい?」
「いや…なんか、汗臭かったら嫌だなって。」
「そんなこと気にしてたの!?今病人なのに?しかも私とは比べ物にならないくらい重症で!?…ほんっとズレてるからね、律。自分の快不快だけで物考えていいときなの、今。私のことはいいの。」

 怜花が言い終えると、律は静かに「そっかぁ」と答えた。

「薬飲んだら多分、もう少しマシになると思うから寝て。」
「…寝室で、寝なきゃだめ?」
「ソファで寝たいってこと?」
「…うん。一緒に寝れないのはわかってるんだけど、一人であのベッドは大きすぎて、寒い。」
「…そっか。律があったかくして眠れるところならどこでもいいよ。じゃあかけるもの持ってくるから、律は横になってて。」
「うん。」

 怜花は寝室に戻る。掛け布団は大きすぎて、ソファに上手くおさまりそうにない。大きい毛布を畳んでかければ掛け布団の代わりになるかもしれないと思い、怜花はひとまず毛布を運ぶことにした。

「…そのソファ、背もたれ倒せそうじゃない?」
「あぁ、そっか。うん、倒せると思う。」
「ちょっと動かないで。やるから。」

 怜花が背もたれを倒すと、シングルサイズのベッドくらいの広さにはなった。

「シーツの代わりにタオルケット敷こうか。なんか、どこかで見た気がする。タオルケット。」

 怜花はそう言うと、寝室に戻る。本当はシングルサイズのシーツがあればそれを敷きたいところだったが、このベッドのサイズから察するにない。戸棚の中にタオルケットを見つけ、それをリビングに運んだ。

「ちょっと片側に寄れる?ゴロンって感じで。」

律が体を寄せた隙に何とかタオルケットを敷き終えた。横になった律に毛布を被せる。

「寒さは?」
「丁度いい。」
「私洗い物したり、洗濯したりするから音鳴るけど眠れそう?」
「…うん。怜花の音があるほうがいい。」
「…そう。じゃあゆっくり休んでね。」

 そう言って怜花は再び、手の甲を律の頬にそっと触れさせた。その温度に、律は静かに目を閉じた。
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