夜を繋いで君と行く
* * *

 夕方になっても熱は上がることがなく、ほとんど回復したと言ってもいいような状態になったことを感じて、怜花は安堵した。ソファに座って二人で映画を観たり、少しだけお昼寝をしたりとのんびり過ごしていた中で、時折ズキズキと痛む腹部が怜花をしっかりと現実に戻してもいた。

「…今日は一緒に寝れるよね、熱上がってないし。」
「え…っと…。」
「…揺れてる話は、今聞いてもいいの?」

 怜花は膝の上で手をぐっと握った。

「いちゃいちゃ解禁って俺が聞いた時、いいよともダメだよとも言わなかったよね。…それはなんで?」

 なかなか鋭いところをつかれて、ますます手には力が入った。視線は自然と下向きになり、腹部は突然痛みの主張を強める。

「…えっと、しばらくは一緒に寝れない、かな。あの、病み上がりにするような話じゃないんだけど…。」
「もう元気だから大丈夫。何?」

 律の声がいつも通りの優しい、甘い声に戻っている。怜花の手に触れた律の手も、いつも通りの温度だ。

「…綺麗な話でもないっていうか、律はちょっと想像もできなくて怖いかもしれないんだけど…。」
「怜花じゃなくて俺が怖いって思うような話なんだ。怜花が怖くないんなら話して?」
「…私は…その、律の答え次第では怖いというか…その、身の振り方を考えなくちゃいけないんだけど、でもこれは…あの、付き合うってなったときに本当は話さなきゃいけないことだったなって、…昨日思い当たって。」
「うん。」
「一緒に寝れないのは、その…昨日生理がきちゃって、私は生理が一般的な基準より重いというか、出血量もとてつもないの。だから、ベッドが血まみれになってもびっくりさせちゃうだろうし、汚したくないから一緒には眠れない。…ごめん。」
「…そういうこと。無知だからあんまりよくわかってないけど、話しにくいことだよね。多分。無理に話してない?大丈夫?」

 怜花は首だけで静かに頷いた。

「…怖くない?グロいなとか、そんな話聞きたくないとかだったら、話すの止めるけど…。」
「怜花が言った方がいいって判断するような何かはまだ終わってないでしょ?そこまで聞くよ。」
「…わかった。」

 律はいつだってきちんと聞いてくれる人だ。だから言わなくてはならない。
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