夜を繋いで君と行く
* * *

「美味しい!」
「そう?怜花の作ってくれたやつの方が数百倍美味しくない?」
「そんなことないよ。…美味しい。ほっとするし、甘くて癒されるよ。」
 
 ほどよい甘さと食べやすさにパクパクと口に運んでしまう。怜花がハイペースで食べるのが珍しくて、律はふっと微笑んだ。

「食べるの早!」
「だって美味しいんだもん。あと、体が食べろーって言ってる気がする。エネルギーを消費しちゃうので。」
「そうじゃん!もっと作る?他に何食べる?あ、あったかい飲み物、もっと要るよね?」

 今にも立ち上がりそうな勢いでそう言う律に怜花は首を横に振ってから笑った。

「…ほんっと過保護だよ、律は。大丈夫。普通の人は一か月に1回倒してるんだから。」
「…腹痛と出血っていう2点だけで普通に怖い。人間の体、ほとんど水でできてるんだから脱水とかになんないの?」
「なったことないから大丈夫。あと、いつもより白湯とか飲むようにしてるし。…ごめんね、心配させたくて言ったんじゃなくて…その、律の人生を私のせいで邪魔したくないなって…そればっかりがあったから話したけど。」
「…ん-…さっきの話、ちょっとだけ蒸し返してもいい?」
「ど、どうぞ!」

 怜花の背筋には緊張が走る。ナイフとフォークを置き、怜花は手をぐっと握りしめて膝の上に置いた。

「…そんな先のことまで一生懸命考えてくれる怜花に、俺は何ができる?」
「え?」
「…怜花はめちゃくちゃ緊張して話してくれたんだってわかってるけど、…なんか、先のことを考えるときに俺はそこにいるんだってことがわかって…だめだ、にやける。」
「な、なんで!?にやけるっておかしくない!?」
「にやけるでしょこんなの…。どうしたら怜花はずっと俺の傍にいてくれる?そのためにどうしたらいい?…そんなことばっかり考える。」
「…そのためにどうしたらいいかっていうのは…私も考える…。」

 本当は、いろんなことを隠した方が一緒にいられるのかもしれない。でも、ぐらぐらした自分で律の隣に立ちたいわけではなかった。

「…最終目標は結婚ってことでいいの?」
「…!?え…え!?」
「だってそうなっちゃうでしょ…子供の前に結婚じゃん。したことないからよくわかんないけどさぁ。」
「ち、ちがっ…その、結婚を迫ってるとか、そういうわけじゃ…。」
「ないよね、怜花は。迫ってんのは…俺だから。結婚のことはよくわかってないけど、でも、これからずっと大事にしていきたい人とするのが結婚なら、その相手は怜花がいいよ。少なくとも今は。結婚っていう縛りで怜花が安心できて自信がもてるならいつでもしたいくらいには、気持ちは割と固まってる。…だから、怜花がしたくなったら言ってよ。いつでもいいよ。」
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