夜を繋いで君と行く
* * *
「ただいま。」
玄関のドアを開けた音に反応して、怜花が奥の方から小走りで出てきた。
「おかえり。」
「…わー…ワンピースじゃん、誕生日プレゼントの。…可愛いね。くるって回ってよ。」
「や、やだよ、恥ずかしい!」
「え、なんで?踊ってって言ってんじゃなくて、くるーって一周でいいんだよ?」
「そういうのは小柄で可愛い子がやるから可愛い動きになるの!」
「ぎこちなくてもなんでも、怜花がやったら一番可愛いーって思うけどなぁ。」
『可愛い』を求めてしまう。いつも以上に。おそらく、疲れがそうさせている。あまり押しすぎると困らせるのに上手く引くタイミングを見失っていると、怜花が小さく呟いた。
「…1回だけだよ。」
「うん。動画撮ってもいいの?」
「ダメに決まってるでしょ!」
「…疲れた時の癒しにしようと思ったのに。」
「譲歩して1回、回るんだからね?」
「うん。…はい、くるーってやって?」
少しぎこちなくくるりと怜花が回ると、ワンピースの裾が少しだけ丸を描いた。今日という日にこれを着ようと思ってくれたことも、いい匂いから察するにたくさん用意されているであろうものを思っても、ただこの目の前の人が大切だという気持ちだけでいっぱいになる。
「…なんか、疲れてる?」
「…ばれた?」
「ちょっと声に元気がない感じがしたかな。お風呂、お湯沸かしてあるから浸かっておいでよ。はい、コート貰うね。…私はちょっと、まだ奮闘するので。」
「そうなの?手伝えること、残ってる?」
「ご飯は作り終わってるから、律が手伝えることはない…っていうか、そこは私が頑張らないといけないところだから…。」
「…そっか。…今日、この楽しみがあったから乗り越えられたかも。」
今すぐ抱きしめたい気持ちをぐっとこらえ、律は怜花にコートを手渡した。
「ゆっくり回復してきて。ご飯もチョコも、逃げないので。」
「怜花も逃げちゃダメだからね。…とりあえず風呂終わったらちょっとハグだけは即させてほしい。」
「…わ、わかった。」
少しだけ頬に赤みがさした怜花が頷く。そんな姿に、律の口元には自然と笑みが浮かぶ。重くて冷えた体が少しずつ熱を取り戻す、そんな感覚がする。
「ただいま。」
玄関のドアを開けた音に反応して、怜花が奥の方から小走りで出てきた。
「おかえり。」
「…わー…ワンピースじゃん、誕生日プレゼントの。…可愛いね。くるって回ってよ。」
「や、やだよ、恥ずかしい!」
「え、なんで?踊ってって言ってんじゃなくて、くるーって一周でいいんだよ?」
「そういうのは小柄で可愛い子がやるから可愛い動きになるの!」
「ぎこちなくてもなんでも、怜花がやったら一番可愛いーって思うけどなぁ。」
『可愛い』を求めてしまう。いつも以上に。おそらく、疲れがそうさせている。あまり押しすぎると困らせるのに上手く引くタイミングを見失っていると、怜花が小さく呟いた。
「…1回だけだよ。」
「うん。動画撮ってもいいの?」
「ダメに決まってるでしょ!」
「…疲れた時の癒しにしようと思ったのに。」
「譲歩して1回、回るんだからね?」
「うん。…はい、くるーってやって?」
少しぎこちなくくるりと怜花が回ると、ワンピースの裾が少しだけ丸を描いた。今日という日にこれを着ようと思ってくれたことも、いい匂いから察するにたくさん用意されているであろうものを思っても、ただこの目の前の人が大切だという気持ちだけでいっぱいになる。
「…なんか、疲れてる?」
「…ばれた?」
「ちょっと声に元気がない感じがしたかな。お風呂、お湯沸かしてあるから浸かっておいでよ。はい、コート貰うね。…私はちょっと、まだ奮闘するので。」
「そうなの?手伝えること、残ってる?」
「ご飯は作り終わってるから、律が手伝えることはない…っていうか、そこは私が頑張らないといけないところだから…。」
「…そっか。…今日、この楽しみがあったから乗り越えられたかも。」
今すぐ抱きしめたい気持ちをぐっとこらえ、律は怜花にコートを手渡した。
「ゆっくり回復してきて。ご飯もチョコも、逃げないので。」
「怜花も逃げちゃダメだからね。…とりあえず風呂終わったらちょっとハグだけは即させてほしい。」
「…わ、わかった。」
少しだけ頬に赤みがさした怜花が頷く。そんな姿に、律の口元には自然と笑みが浮かぶ。重くて冷えた体が少しずつ熱を取り戻す、そんな感覚がする。