夜を繋いで君と行く
「…律…?」

 唇が離れたのを感じて怜花が律を見上げると、律は少し困ったように笑った。

「…怜花のチョコ、食べたい。…食べさせてくれる?」
「…じ、自分で食べれるでしょ?」
「だって怜花、さっき絶対に食べさせたいって言ってた。」
「それは意味が違う!これですって出して食べてもらいたいっていうだけで…!」
「…一人で食べんのも嫌だし。一緒に食べようよ。どこにあるの?冷蔵庫?」
「も、持ってくるから律はここにいて!」

 怜花は赤い顔のままスッと立ち上がった。そして小さな箱を冷蔵庫から取り出した。箱を持って律の隣に座り、そのまま箱を差し出した。

「…開けていいの?」
「…形崩れてたらごめん。」
「いいよ、そんなの。…本命チョコ、嬉しい。」

 箱を開けると、そこそこの数のトリュフが入っている。表面にパウダーだけのものと、ナッツが入っているものが半々くらいだ。

「…見栄え的には数少ない方がいいのかなとか思ったんだけど、…でもあの…律は食べるの好きだし甘いものも好き…だから、多いに越したことはないかなって…。」
「…トリュフ?」
「そ…う。」
「…すごいね、こんなのも作れるんだ。しかもいっぱい。…今日食べても、明日も食べれるね。分けてもすぐなくなっちゃわない。」
「味見もしたから…大丈夫だと思うんだけど、甘すぎたり甘さが足りなかったりみたいなのはちょっと心配なので、…忌憚なき感想をお願いします。」

 律は一つ丸ごと、口の中に放り込んだ。ふわっと広がる甘さが疲れた体に心地よかった。口の中が熱いのか、トリュフはあっという間に溶けていく。柔らかい中身は本当に一瞬でいなくなってしまった。

「…甘くておいしい。…あっという間になくなっちゃった。」
「ガナッシュだからね。生クリームを混ぜてるし、少し柔らかいから。」

 律は次のトリュフに手を伸ばす。口に入れると、律は怜花の腕を引いた。

「律っ…?」

 その先は言葉にならなかった。チョコを含んだままの律の唇が、怜花の唇に触れていた。
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