夜を繋いで君と行く
「…無理はしてない?」

 律の声に、怜花は頷いた。自信はない。ただ、あるだけの勇気を集めて今日はここにいる。

「いいの?…ほんとに全部、貰っちゃうよ。絶対最後まで、怜花のこと離せないよ?」
「…一つだけ、お願いしたいことがあって。」
「うん。」

 律のことも、律と体を重ねることも怖くはない。でも一つだけ、怖いことは。

「…上手にできてもできなくても、最後までできてもできなくても…。」
「うん。」
「どういう形になっても、…一緒に寝てくれる?」
「…当たり前でしょ。何その可愛いお願い。絶対一緒に寝るし、っていうか朝までかもしんないし、朝は朝でいちゃいちゃするんで。」
「…体力もつかなぁ。ついていけないかも。」
「…無茶も無理もさせちゃうかもしれないけど、でも怜花のことはずっと見てるよ。なるべく気付けるように頑張るけど、休憩が必要だったら一緒に休むし、何でも一緒にやるよ。…だって俺が頑張らせちゃってるし、無理させるんだから。」

 怖いことは、その線を越えた先に失望されてしまうこと。朝を一緒に迎えられないこと。心と体を置き去りにされること。律の言葉が、その怖いこと一つひとつを塗りつぶしていく。

「…律ってさぁ。」
「うん。」
「…過保護で甘すぎるね、私に。もっと厳しくしておかないと、調子に乗って傲慢になるかもよ?」
「怜花が傲慢?ちょっと面白いね、それ。なってもいいよ。それはそれで楽しむし、それが嫌になったらちょっとずつ直すし。」
「…頭がいいからなのかな、代替案もすぐポンポン出てくるよね。」
「必死なんだよ。嫌われないために、ある頭を必死にフル稼働して繋ぎとめてる。…嫌われたくないから、緊張してんだよ。でも、嫌われるようなことをしても、ごめんって謝ったら怜花は俺を置いていかないかなって。…今はそう思うから、夜のいちゃいちゃ延長戦、しようか。」
「…初心者だと思って、手加減は希望します。」
「…やらかすかもしれないから先に謝っとくね。ごめん。」
「へっ…ひゃっ…!」

 律は謝ったかと思うと怜花からパッと離れ、そしてそのまま抱き上げた。慌てて律の胸元を掴むと、律は優しい眼差しを怜花に向けながら口を開いた。

「服じゃなくて、首に腕回すこと。この後はずーっと、顔がこの距離より遠くなることはないんだから怜花ちゃんは早く耐性をつけましょう。」
「…し、しんどい…。」
「まだ始まってないよ~?頑張れ頑張れ。」
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