夜を繋いで君と行く
「あなた……。」
「怜花が俺の名前をあなたたちに伝えたくないみたいだから、名乗れなくてすみません。でも僕は、怜花の嫌がることはしないって決めているので。だから直接お会いして挨拶ができないことは謝ります。ですが、この先僕が怜花を泣かせることはないです。寂しい思いもさせません。一人にしません。それはお約束します。」
「そ、そんなの認めませんからね!大体、結婚するなら両家が揃って……。」
「お母さん、私もうね、親の同意なんかなくても結婚だってできるし、離婚だってできる。就職もできるし仕事もできるんだよ。」
過去と別れたくて、電話をした。結婚式には行かないこと、もう実家には戻らないこと、家族はもういないことにすること。言わなきゃと思っていたことは、背中から伝わる律の体温が後押ししてくれたから言えた。一人では言えなかったことも、聞いてくれる人がいるなら言えるのだ。
「もう子供じゃないの。……今日が、最後、です。今までお世話になりました。」
「れい…!」
「さようなら。」
通話ボタンをタップして、怜花はふーっと深く息を吐いて律の方に体重を預ける。すると、律の片腕が怜花の腹部を引き寄せ、空いている方の手が怜花の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「律っ……強い強い!」
「え~だっていい子だったじゃん。よしよしーってやつだよ。」
「そ、それはわかるけどっ……。」
「やっぱこっち向いてほしいな。」
律の腕の中でぐるりと体の向きを変えられる。律の目が優しく怜花を見つめている。
「言いたいこと、全部言えた?」
「……うん。律のおかげ。」
「んじゃ、勝利のグータッチしよ。」
「グータッチ?」
「うん。」
怜花の背中に回っていない方の手がぐっと握られる。怜花も真似をしてぐっと握る。すると、律の拳がこつんと怜花の拳に触れた。
「やったぜ感、出ない?」
「出るね。初めてやったかも。」
「え、初めて?やった、怜花の貴重な初めて、1個ゲット。」
怜花はそのままトンと律の肩に頭を触れさせた。そして自分の方から律の背に両腕を回してぎゅっと抱きついた。
「怜花?」
「……いっぱい、ゲットしてるよ。怖くない夜も、泣いても大丈夫な夜も、起こしても大丈夫な夜も全部、初めてだったよ。律からは、初めてもらうものばっかり。……ありがとう。ありがとう、律。律がいたから、今日は怖いの、なかった。ちゃんと話せた。話せたよ、律。」
怜花がそう言うと、怜花以上に強い力でぎゅっと抱きしめられる。怜花の耳元では『ちょっとテンション高いの、可愛いー』といういつも通りの律の声が響いた。
「怜花が俺の名前をあなたたちに伝えたくないみたいだから、名乗れなくてすみません。でも僕は、怜花の嫌がることはしないって決めているので。だから直接お会いして挨拶ができないことは謝ります。ですが、この先僕が怜花を泣かせることはないです。寂しい思いもさせません。一人にしません。それはお約束します。」
「そ、そんなの認めませんからね!大体、結婚するなら両家が揃って……。」
「お母さん、私もうね、親の同意なんかなくても結婚だってできるし、離婚だってできる。就職もできるし仕事もできるんだよ。」
過去と別れたくて、電話をした。結婚式には行かないこと、もう実家には戻らないこと、家族はもういないことにすること。言わなきゃと思っていたことは、背中から伝わる律の体温が後押ししてくれたから言えた。一人では言えなかったことも、聞いてくれる人がいるなら言えるのだ。
「もう子供じゃないの。……今日が、最後、です。今までお世話になりました。」
「れい…!」
「さようなら。」
通話ボタンをタップして、怜花はふーっと深く息を吐いて律の方に体重を預ける。すると、律の片腕が怜花の腹部を引き寄せ、空いている方の手が怜花の頭をわしゃわしゃと撫でる。
「律っ……強い強い!」
「え~だっていい子だったじゃん。よしよしーってやつだよ。」
「そ、それはわかるけどっ……。」
「やっぱこっち向いてほしいな。」
律の腕の中でぐるりと体の向きを変えられる。律の目が優しく怜花を見つめている。
「言いたいこと、全部言えた?」
「……うん。律のおかげ。」
「んじゃ、勝利のグータッチしよ。」
「グータッチ?」
「うん。」
怜花の背中に回っていない方の手がぐっと握られる。怜花も真似をしてぐっと握る。すると、律の拳がこつんと怜花の拳に触れた。
「やったぜ感、出ない?」
「出るね。初めてやったかも。」
「え、初めて?やった、怜花の貴重な初めて、1個ゲット。」
怜花はそのままトンと律の肩に頭を触れさせた。そして自分の方から律の背に両腕を回してぎゅっと抱きついた。
「怜花?」
「……いっぱい、ゲットしてるよ。怖くない夜も、泣いても大丈夫な夜も、起こしても大丈夫な夜も全部、初めてだったよ。律からは、初めてもらうものばっかり。……ありがとう。ありがとう、律。律がいたから、今日は怖いの、なかった。ちゃんと話せた。話せたよ、律。」
怜花がそう言うと、怜花以上に強い力でぎゅっと抱きしめられる。怜花の耳元では『ちょっとテンション高いの、可愛いー』といういつも通りの律の声が響いた。