夜を繋いで君と行く
今度は聞かせて、あなたの話を
* * *
5月6日になった。怜花はベッドの上で横になったまま、律を見つめて呟いた。
「誕生日おめでとう、律。」
「ありがと。まさか怜花も6日になる瞬間におめでとうって言いたいなんて言うとはねー。」
「でも、今日も金曜で仕事だし、寝て。」
「やぁーだ。……こんな嬉しい誕生日初めてだし。」
そう言って、律はぎゅうっと怜花をいつものように抱きしめた。それ自体は嬉しいし、安心できるものだが今日は少し胸が軋んだ。
「……初めて、なの?」
「え?」
「だって毎年、その、生誕祭みたいな感じで祝われたり、しない?声優さんって割とその、最近ハッシュタグとかで騒がれてるイメージ、あった。」
「あー……あるか、あるね。祝ってもらえることはある。でも、特定の誰かにこんな誕生日になった瞬間におめでとうってさ、直接言われるのは本当にないと思う。」
「……そう、なんだ。」
「だから嬉しいんでしょ。」
怜花も律の背にそっと腕を回す。そして自分の方から近付く。最近は自分の方から距離を詰めることも増えた。
「怜花?」
「今日、帰り遅い?」
「いや?収録は普通にあるけど、そんな遅くならないよ。」
「じゃああの、律の話を聞く番に、なってもいい?」
「俺の話?」
腕の力を緩め、怜花は律をまっすぐに見つめた。
「昔の律を知りたい。……わがままなことを言ってるのは、わかって言って、ます。」
怜花がそう言うと、律はふわっと微笑んだ。そして怜花の額に唇を落とす。
「怜花の可愛いわがままを叶えちゃっていいの~?ってかそんなの全然わがままじゃないし。んじゃ、帰ってきたら話すよ。楽しい話は一つもないけど、それでも大丈夫?」
「……誕生日なのに、そんな話させることの方がダメな気がしてきた……。」
「え、いいよ。俺ばっかり怜花の昔を知ってて、怜花が何も知らないってのもフェアじゃないじゃん?それに……。」
「それに?」
「多分、俺は話しても傷ついたりしないよ、今更。泣いちゃうのは怜花だと思う。」
律はそう言って少し目尻を下げた。たまらなくなって、怜花は再び律を抱きしめた。
「……どんな話でも聞きたいし、知りたい。律のことなら、何でも。」
「はは。はー……怜花にそう言ってもらえる夜が来るなんてねー……12月の俺、頑張って良かったね。」
「それは、そう。律がずっと頑張ってるの。だから私も、……早く追いつきたいんだよ。」
「何言ってんだか。ずっと隣にいてくれるじゃん。」
律の唇が怜花の唇にそっと触れた。
「キスできる距離にいつもいてくれてありがと。今日は誕生日だし、し放題だね。」
「……し放題じゃないよ。ね、寝る!」
「あー背中向けんのなし!」
5月6日になった。怜花はベッドの上で横になったまま、律を見つめて呟いた。
「誕生日おめでとう、律。」
「ありがと。まさか怜花も6日になる瞬間におめでとうって言いたいなんて言うとはねー。」
「でも、今日も金曜で仕事だし、寝て。」
「やぁーだ。……こんな嬉しい誕生日初めてだし。」
そう言って、律はぎゅうっと怜花をいつものように抱きしめた。それ自体は嬉しいし、安心できるものだが今日は少し胸が軋んだ。
「……初めて、なの?」
「え?」
「だって毎年、その、生誕祭みたいな感じで祝われたり、しない?声優さんって割とその、最近ハッシュタグとかで騒がれてるイメージ、あった。」
「あー……あるか、あるね。祝ってもらえることはある。でも、特定の誰かにこんな誕生日になった瞬間におめでとうってさ、直接言われるのは本当にないと思う。」
「……そう、なんだ。」
「だから嬉しいんでしょ。」
怜花も律の背にそっと腕を回す。そして自分の方から近付く。最近は自分の方から距離を詰めることも増えた。
「怜花?」
「今日、帰り遅い?」
「いや?収録は普通にあるけど、そんな遅くならないよ。」
「じゃああの、律の話を聞く番に、なってもいい?」
「俺の話?」
腕の力を緩め、怜花は律をまっすぐに見つめた。
「昔の律を知りたい。……わがままなことを言ってるのは、わかって言って、ます。」
怜花がそう言うと、律はふわっと微笑んだ。そして怜花の額に唇を落とす。
「怜花の可愛いわがままを叶えちゃっていいの~?ってかそんなの全然わがままじゃないし。んじゃ、帰ってきたら話すよ。楽しい話は一つもないけど、それでも大丈夫?」
「……誕生日なのに、そんな話させることの方がダメな気がしてきた……。」
「え、いいよ。俺ばっかり怜花の昔を知ってて、怜花が何も知らないってのもフェアじゃないじゃん?それに……。」
「それに?」
「多分、俺は話しても傷ついたりしないよ、今更。泣いちゃうのは怜花だと思う。」
律はそう言って少し目尻を下げた。たまらなくなって、怜花は再び律を抱きしめた。
「……どんな話でも聞きたいし、知りたい。律のことなら、何でも。」
「はは。はー……怜花にそう言ってもらえる夜が来るなんてねー……12月の俺、頑張って良かったね。」
「それは、そう。律がずっと頑張ってるの。だから私も、……早く追いつきたいんだよ。」
「何言ってんだか。ずっと隣にいてくれるじゃん。」
律の唇が怜花の唇にそっと触れた。
「キスできる距離にいつもいてくれてありがと。今日は誕生日だし、し放題だね。」
「……し放題じゃないよ。ね、寝る!」
「あー背中向けんのなし!」