夜を繋いで君と行く
「…ネットで買うのはやめた方が良い気がしますけどね。」
「なんで?」
「実際の感じがわかりませんし、届いたら思ったより小さかったってなっても困りませんか?」
「そうだけど、じゃあどうしたらいい?」
「炊飯器と一緒に見に行きますか?」
「え、いつ?」
「今ですよ。まだ7時半ですし。9時までやってる家電量販店…は、ある!ほら、意外と近い。」
怜花は検索結果を二階堂に見せた。目の前の二階堂はきょとんとした顔をしている。
「…な、なんですか?そんな目、丸くして。」
「あ、いや。行動力あるなって。」
「私は暇ですけど、二階堂さんは暇じゃありませんし、隙間にこうやって余計なことさせてますし。多少は役に立ちますよ、私も。」
怜花は頑張って少し大きめにハンバーグを切って口に運ぶ。次の目的地が決まったので、いつもよりもペースを上げて完食したい。そう思って、食べることに集中する。食べ終わった二階堂は、じっと怜花を見つめていた。
「…あの、なんですか?そんなにじっと見られるようなこと、してますか?」
「いつもより食べっぷりがいいから面白くて。そういう風にも食べれるんだ。」
「二階堂さん、食べ終わっちゃったので焦って食べてます。」
「うわごめん!ゆっくりでいいよ。ていうか、9時までやってるならそんなに急がなくてもいいし。」
「9時までだらだら見て、私のこと送って帰るってなったら二階堂さんが寝る時間、普段より遅くなるじゃないですか。そういうのはダメです。仕事に支障をきたしたらダメです。私は代わってあげられないんだし。」
怜花の言葉に、二階堂はふっと柔らかく微笑んだ。
「…なんですか、その笑みは。」
「あー…いや、うん。怜花ちゃんって面白い。楽しい。あと、とびっきり優しいね。優しいから、疲れちゃうんだよ。」
「疲れてない、ですけど。」
「今ってことじゃなくて、なんていうか自分に向けられるものとかそういうものを敏感に感じ取って、応えようとするんだなって。俺がやりたくて送っていってるし、俺が電話したくて電話してんのにそれを気遣いだと思って、それに返そうとしてくれてるでしょ?俺は有難く全部もらってるけど、そもそも返さなくていいんだよ。全部、俺の勝手でやってるから。」
「……。」
不覚にも黙ってしまった。反撃の一手が出てこない。バランスを保つために、誰かにもたれて甘える自分であってはいけないから借りは作れない。そう思う気持ちに『そうじゃない』と言われているみたいに聞こえて、怜花は沈黙した。そしてその沈黙を誤魔化すために、再びハンバーグを切った。
「なんで?」
「実際の感じがわかりませんし、届いたら思ったより小さかったってなっても困りませんか?」
「そうだけど、じゃあどうしたらいい?」
「炊飯器と一緒に見に行きますか?」
「え、いつ?」
「今ですよ。まだ7時半ですし。9時までやってる家電量販店…は、ある!ほら、意外と近い。」
怜花は検索結果を二階堂に見せた。目の前の二階堂はきょとんとした顔をしている。
「…な、なんですか?そんな目、丸くして。」
「あ、いや。行動力あるなって。」
「私は暇ですけど、二階堂さんは暇じゃありませんし、隙間にこうやって余計なことさせてますし。多少は役に立ちますよ、私も。」
怜花は頑張って少し大きめにハンバーグを切って口に運ぶ。次の目的地が決まったので、いつもよりもペースを上げて完食したい。そう思って、食べることに集中する。食べ終わった二階堂は、じっと怜花を見つめていた。
「…あの、なんですか?そんなにじっと見られるようなこと、してますか?」
「いつもより食べっぷりがいいから面白くて。そういう風にも食べれるんだ。」
「二階堂さん、食べ終わっちゃったので焦って食べてます。」
「うわごめん!ゆっくりでいいよ。ていうか、9時までやってるならそんなに急がなくてもいいし。」
「9時までだらだら見て、私のこと送って帰るってなったら二階堂さんが寝る時間、普段より遅くなるじゃないですか。そういうのはダメです。仕事に支障をきたしたらダメです。私は代わってあげられないんだし。」
怜花の言葉に、二階堂はふっと柔らかく微笑んだ。
「…なんですか、その笑みは。」
「あー…いや、うん。怜花ちゃんって面白い。楽しい。あと、とびっきり優しいね。優しいから、疲れちゃうんだよ。」
「疲れてない、ですけど。」
「今ってことじゃなくて、なんていうか自分に向けられるものとかそういうものを敏感に感じ取って、応えようとするんだなって。俺がやりたくて送っていってるし、俺が電話したくて電話してんのにそれを気遣いだと思って、それに返そうとしてくれてるでしょ?俺は有難く全部もらってるけど、そもそも返さなくていいんだよ。全部、俺の勝手でやってるから。」
「……。」
不覚にも黙ってしまった。反撃の一手が出てこない。バランスを保つために、誰かにもたれて甘える自分であってはいけないから借りは作れない。そう思う気持ちに『そうじゃない』と言われているみたいに聞こえて、怜花は沈黙した。そしてその沈黙を誤魔化すために、再びハンバーグを切った。