逆ゼロ - The Other Fragments ユキちゃん
* * *
帰り道。ひんやりとした夜風が肌を撫で、さっきまでの非日常をそっと洗い流してくれるようだった。
マンションのゲスト用駐車場まで、私たちは並んで歩く。
「……ごめん。映画、やっぱりキツかった?」
助手席に乗り込みながらそう尋ねる。蓮さんは運転席に体を預けたまま、少しの間だけ沈黙して、それから穏やかな声で言った。
「ううん、ゾンビメインだから、思ったより大丈夫だった。それより──」
ふいに言葉が途切れる。
次の瞬間、彼の気配が近づいてくるのがわかった。
髪にそっと触れた手が、私を静かに引き寄せた。私は自然と身を傾け、彼の胸元に収まる。
早まる鼓動が、頬から伝わってきて、それがなんだか、うれしかった。
「──親友が男性って聞いて、嫉妬しないようにって思ってたけど……たぶん、してた。今日、ユキちゃんに会うまでは」
彼の唇が、そっと私の頬に触れた。あたたかくて、少しくすぐったかった。
「昨日、オムライスを作ってくれたんだよね? まだある?」
穏やかな声に、私は自然と微笑んで、小さく頷いた。
「うん、でも、あれはスパイス入れすぎちゃったから、私が食べるよ」
「帰ったら、一緒に食べよう」
そして、そっと唇が重なる。
「……ナツメグの効果、食べてから、試してみる?」
くすぐるように囁かれて──私は思わず耳まで赤くなりながら、両腕を伸ばして、彼を強く抱きしめた。
帰り道。ひんやりとした夜風が肌を撫で、さっきまでの非日常をそっと洗い流してくれるようだった。
マンションのゲスト用駐車場まで、私たちは並んで歩く。
「……ごめん。映画、やっぱりキツかった?」
助手席に乗り込みながらそう尋ねる。蓮さんは運転席に体を預けたまま、少しの間だけ沈黙して、それから穏やかな声で言った。
「ううん、ゾンビメインだから、思ったより大丈夫だった。それより──」
ふいに言葉が途切れる。
次の瞬間、彼の気配が近づいてくるのがわかった。
髪にそっと触れた手が、私を静かに引き寄せた。私は自然と身を傾け、彼の胸元に収まる。
早まる鼓動が、頬から伝わってきて、それがなんだか、うれしかった。
「──親友が男性って聞いて、嫉妬しないようにって思ってたけど……たぶん、してた。今日、ユキちゃんに会うまでは」
彼の唇が、そっと私の頬に触れた。あたたかくて、少しくすぐったかった。
「昨日、オムライスを作ってくれたんだよね? まだある?」
穏やかな声に、私は自然と微笑んで、小さく頷いた。
「うん、でも、あれはスパイス入れすぎちゃったから、私が食べるよ」
「帰ったら、一緒に食べよう」
そして、そっと唇が重なる。
「……ナツメグの効果、食べてから、試してみる?」
くすぐるように囁かれて──私は思わず耳まで赤くなりながら、両腕を伸ばして、彼を強く抱きしめた。

