逆ゼロ - The Other Fragments ユキちゃん
* * *

 帰り道。ひんやりとした夜風が肌を撫で、さっきまでの非日常をそっと洗い流してくれるようだった。

 マンションのゲスト用駐車場まで、私たちは並んで歩く。

「……ごめん。映画、やっぱりキツかった?」

 助手席に乗り込みながらそう尋ねる。蓮さんは運転席に体を預けたまま、少しの間だけ沈黙して、それから穏やかな声で言った。

「ううん、ゾンビメインだから、思ったより大丈夫だった。それより──」

 ふいに言葉が途切れる。
 次の瞬間、彼の気配が近づいてくるのがわかった。
 髪にそっと触れた手が、私を静かに引き寄せた。私は自然と身を傾け、彼の胸元に収まる。
 早まる鼓動が、頬から伝わってきて、それがなんだか、うれしかった。

「──親友が男性って聞いて、嫉妬しないようにって思ってたけど……たぶん、してた。今日、ユキちゃんに会うまでは」

 彼の唇が、そっと私の頬に触れた。あたたかくて、少しくすぐったかった。

「昨日、オムライスを作ってくれたんだよね? まだある?」

 穏やかな声に、私は自然と微笑んで、小さく頷いた。

「うん、でも、あれはスパイス入れすぎちゃったから、私が食べるよ」

「帰ったら、一緒に食べよう」

 そして、そっと唇が重なる。

「……ナツメグの効果、食べてから、試してみる?」

 くすぐるように囁かれて──私は思わず耳まで赤くなりながら、両腕を伸ばして、彼を強く抱きしめた。
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「逆ゼロ」、お読みいただき、ありがとうございます! この物語は、ふたりの関係が少しずつ育っていく、ゆっくりめの恋愛ストーリーです。 「どんな恋愛展開になるのか知りたい」という方は、シーズン2から関係が急展開しますので、P221〜227(※R描写あり)をサンプル的にご覧いただくのもおすすめです。 「焦れながらも確実に進んでいく展開に萌える!」と仰っていただけることも多いので、もし上記恋愛シーンを気に入っていただけたなら、最初から読んでいただけると、とても嬉しいです。 ⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯ 話タイトル横の ✳︎Rated✳︎ は「セルフレイティングあり」です。 反響があるととても嬉しいので……もしよろしければ「いいね」していただけると嬉しいですっ(*´∇`*)

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