逆ゼロ - The Other Fragments ユキちゃん
私は、耳まで熱くなっていくのを感じながら、ユキちゃんを睨みつけた。
うう……確かに、それを言わなきゃ誤解が解けないけど、そんなつもりじゃなかったのに!
「ち、違うの。私はただ、ナツメグの香りが好きなだけで……」
言い訳を始めた私の声をさえぎるように、ユキちゃんがプロジェクターのリモコンを手に取り、軽やかに電源をオンにする。
「はいはい、言い訳はいいから。オムライス食べながら、ムービータイムよ! 蓮さんも、もちろん見るわよね?」
「映画?」
蓮さんがきょとんとした顔で私を見る。
「うん……ごめん、実はそれも紹介をためらってた理由で……」
私はバッグから一枚のDVDを取り出す。タイトルは、『スプラッタ・ホラー 〜バス停にゾンビがいる〜』。
蓮さんの顔色が変わった。
「スプラッタ……」
「そう。蓮さんが苦手なの知ってる。でも、ゾンビものだけはどうしても見たくって……。だけど、ひとりで見る勇気はないから、怖がりのくせに全ジャンルOKのユキちゃんに、いつも付き合ってもらってたの」
「そ、そうなんだ……」
ケチャップでハートを描いた自分用のオムライスをスプーンで崩しながら、ユキちゃんが口を挟んでくる。
「でもね、蓮さん。この『バスゾビ』、ただのスプラッタじゃないのよ? レビューによると、出てくるゾンビが全員めちゃくちゃいい人っていう、まさかの感動系スプラッタなんだから!」
ユキちゃんはスプーンを手に、前のめりになって熱弁する。そんな謎ジャンルを軽やかに推してくるあたり、さすが世界のユキちゃんだ。
「というわけで、蓮さん、観るわよね? 安心して。怖かったら、私が抱きしめてあげるから」
私は咄嗟に蓮さんの袖を掴んだ。
「だめ、蓮さんの避難先は私だから!」
「ちょっと、あなたはいつも一緒にいられるでしょ? 今日くらい譲ってよ、ね? 蓮さん」
「ふたりとも……」
蓮さんが小さく苦笑する。でもその表情は、どこかあたたかかった。
結局、ソファの真ん中に蓮さん、その両脇に私とユキちゃんという配置で落ち着いた。
そして、ユキちゃん特製の絶品オムライスを食べながら、ゾンビがやたらいい人なわりにスプラッタ全開という、ツッコミどころ満載のB級ホラーに、私たちはしっかりと没入していった。
うう……確かに、それを言わなきゃ誤解が解けないけど、そんなつもりじゃなかったのに!
「ち、違うの。私はただ、ナツメグの香りが好きなだけで……」
言い訳を始めた私の声をさえぎるように、ユキちゃんがプロジェクターのリモコンを手に取り、軽やかに電源をオンにする。
「はいはい、言い訳はいいから。オムライス食べながら、ムービータイムよ! 蓮さんも、もちろん見るわよね?」
「映画?」
蓮さんがきょとんとした顔で私を見る。
「うん……ごめん、実はそれも紹介をためらってた理由で……」
私はバッグから一枚のDVDを取り出す。タイトルは、『スプラッタ・ホラー 〜バス停にゾンビがいる〜』。
蓮さんの顔色が変わった。
「スプラッタ……」
「そう。蓮さんが苦手なの知ってる。でも、ゾンビものだけはどうしても見たくって……。だけど、ひとりで見る勇気はないから、怖がりのくせに全ジャンルOKのユキちゃんに、いつも付き合ってもらってたの」
「そ、そうなんだ……」
ケチャップでハートを描いた自分用のオムライスをスプーンで崩しながら、ユキちゃんが口を挟んでくる。
「でもね、蓮さん。この『バスゾビ』、ただのスプラッタじゃないのよ? レビューによると、出てくるゾンビが全員めちゃくちゃいい人っていう、まさかの感動系スプラッタなんだから!」
ユキちゃんはスプーンを手に、前のめりになって熱弁する。そんな謎ジャンルを軽やかに推してくるあたり、さすが世界のユキちゃんだ。
「というわけで、蓮さん、観るわよね? 安心して。怖かったら、私が抱きしめてあげるから」
私は咄嗟に蓮さんの袖を掴んだ。
「だめ、蓮さんの避難先は私だから!」
「ちょっと、あなたはいつも一緒にいられるでしょ? 今日くらい譲ってよ、ね? 蓮さん」
「ふたりとも……」
蓮さんが小さく苦笑する。でもその表情は、どこかあたたかかった。
結局、ソファの真ん中に蓮さん、その両脇に私とユキちゃんという配置で落ち着いた。
そして、ユキちゃん特製の絶品オムライスを食べながら、ゾンビがやたらいい人なわりにスプラッタ全開という、ツッコミどころ満載のB級ホラーに、私たちはしっかりと没入していった。