年下ワンコと完璧上司に溺愛されて困っています。
第8話 ……ごめんね、碧……
悶々としながらも、仕事は容赦なく押し寄せてきた。
新商品の企画案をまとめたり、既存商品のリニューアル案を出したり、後輩の相談に乗ったり。
仕事中は、余計なことを考える余裕なんてない。
——でも、家に帰って一人になると。
ふいにあの路地裏の光景が蘇り、胸がざわついて眠れなくなる。
そんな日々を過ごしているうちに、気がつけばもう金曜の夜だった。
結局、あの「イケメン清掃員さん」には一度も会えなかった。
預かったハンカチはきれいに洗ってアイロンをかけて、いつでも返せるように用意してあるのに。
(……また会えるのかな)
そんな思いがふと胸をよぎる。
碧からは、あの夜以来一度だけLINEが届いた。
昨日の朝、泣いている子犬のスタンプと一言。
『おねーさんに会いたい』
その文字を見た瞬間、思わず胸が痛んだ。
入力欄に「わたしも会いたい」と打ち込みそうになって、けれど……指は止まった。
一度ちゃんと話し合うべきなのかもしれない。
でも、今のわたしには無理だ。
だって——。
あの路地裏で、碧が他の男とキスしているのを見たとき。
胸が張り裂けそうだった。
冷静に考えて、ようやくわかった。
あの時わたしの中で燃え上がっていたのは、怒りなんかじゃない。
(……嫉妬だ)
自覚した瞬間、胸の奥が熱くなる。
わたしだけを見てほしい。そんな独占欲ばかりが膨らんでいく。
まだ付き合っているわけでもないのに。
今、彼に会ったらそんな気持ちが爆発しそうで怖い。
もうきっと——。引き返せなくなる。
私はため息をひとつ落とし、両手で顔を覆った。
新商品の企画案をまとめたり、既存商品のリニューアル案を出したり、後輩の相談に乗ったり。
仕事中は、余計なことを考える余裕なんてない。
——でも、家に帰って一人になると。
ふいにあの路地裏の光景が蘇り、胸がざわついて眠れなくなる。
そんな日々を過ごしているうちに、気がつけばもう金曜の夜だった。
結局、あの「イケメン清掃員さん」には一度も会えなかった。
預かったハンカチはきれいに洗ってアイロンをかけて、いつでも返せるように用意してあるのに。
(……また会えるのかな)
そんな思いがふと胸をよぎる。
碧からは、あの夜以来一度だけLINEが届いた。
昨日の朝、泣いている子犬のスタンプと一言。
『おねーさんに会いたい』
その文字を見た瞬間、思わず胸が痛んだ。
入力欄に「わたしも会いたい」と打ち込みそうになって、けれど……指は止まった。
一度ちゃんと話し合うべきなのかもしれない。
でも、今のわたしには無理だ。
だって——。
あの路地裏で、碧が他の男とキスしているのを見たとき。
胸が張り裂けそうだった。
冷静に考えて、ようやくわかった。
あの時わたしの中で燃え上がっていたのは、怒りなんかじゃない。
(……嫉妬だ)
自覚した瞬間、胸の奥が熱くなる。
わたしだけを見てほしい。そんな独占欲ばかりが膨らんでいく。
まだ付き合っているわけでもないのに。
今、彼に会ったらそんな気持ちが爆発しそうで怖い。
もうきっと——。引き返せなくなる。
私はため息をひとつ落とし、両手で顔を覆った。