沈丁花奇譚
恐れとも怯えともつかぬ不思議な感情が襲うが、不思議と嫌悪感はなくむしろこのまま時が止まってほしいと思い始めてもいた。
「あ、あの…」ようやくわずかな正気を取り戻し、私は男に言葉を投げかけた。
「どちら様ですか?」
「私は近所の庭に咲いている沈丁花の化身です」
「けし…ん?」
「ええ。こんな形で突然現れ、怖がらせてしまって申し訳ございません。でも私の申し上げていることは嘘ではございません。あまりにも突拍子で現実離れしているのですから無理ないですね」
何とも不思議なとりとめのない会話を交わしている私達。
いるはずもない狐につままれたような思いをしつつも私は、この幻想的な出逢いになぜか身を任せようと思ってしまったのである。
「あ、あの…」ようやくわずかな正気を取り戻し、私は男に言葉を投げかけた。
「どちら様ですか?」
「私は近所の庭に咲いている沈丁花の化身です」
「けし…ん?」
「ええ。こんな形で突然現れ、怖がらせてしまって申し訳ございません。でも私の申し上げていることは嘘ではございません。あまりにも突拍子で現実離れしているのですから無理ないですね」
何とも不思議なとりとめのない会話を交わしている私達。
いるはずもない狐につままれたような思いをしつつも私は、この幻想的な出逢いになぜか身を任せようと思ってしまったのである。