ふたりはミラクルエンターテイナー!

2.

 世の中にはいろいろな魔女がいます。
 ふしぎな薬を作る魔女。
 動物とおしゃべりするのがとくいな魔女。
 お菓子作りの名人の魔女。
 そして、ネルの場合は。
「あぁ~、早くご先祖さまみたいな魔女になりたいな」
「ネルのご先祖さまは、シンデレラに出てくるあの魔女さまだもんな。ボロボロのお洋服を着たシンデレラを、あっという間にステキなドレス姿に変えちゃうんだ」
 マジでスゲーよな、とパンぞうがうなずいています。
「そうなの、わたしも、あんなふうにいろんな子を笑顔にしたいんだ」
 たくさんのリボンやひらひらのレース、キラキラとかがやくティアラ、それに、すきとおったガラスのくつ。
 わたしにもできたらな。
 世界じゅうの女の子たちが喜んでくれるドレスが作れたら。
 あっという間にプリンセスになれちゃうかわいいドレス。
 ネルはいつもそう夢見ていました。
「この布があれば、きっとみんなが喜んでくれるドレスができるはず!」

 ところが――。
「あれっ!? うまくいかない」
「もーっ! ネル、だからあれほど、おさいほうの勉強なまけるんじゃないって言ったのに」
 パンぞうがあきれるのもムリはありません。
 ネルは、ハサミの魔法は使えるけれど、おさいほうは大の苦手。
 針に糸をとおすのもひと苦労。
 手ぬいはもちろん、ミシンを使ってもぬい目がガタガタに。
 せっかくの青空の布もボロボロになってしまいました。
 とうぜん、これではドレスなんてできません。
「あ~ん、大しっぱい……」
 いっぽう、凹んでいるネルとは反対にクラスメイトの子たちは大はりきり。
「ファッションショーなんて楽しみ! 有名人とか観に来てくれないかな? たとえば、モエさまとか!」
「わぁ~、それいいね!」
 とてもにぎやかに話しています。
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