ふたりはミラクルエンターテイナー!

4.

「わぁー、見て!」
 ここはアウロラ王国の空の上。
 青い空に、大きな七色の虹がふたつ、まるでカラフルなリボンのようにかかっています。
「とってもキレイだね、パンぞう! あの虹でドレスを作ったら、きっととってもステキなのができるよ!」
 ネルは目をかがやかせてスイーッ! と虹に近づくと、さっそくチョキチョキチョッキン! とやりはじめました。
「そうかぁ? カラフルなだけがミリョクじゃねーぞ。見ろよ、オレさまの白黒もようを。とってもクールだろ?」
 じまんげにポーズをとるパンぞう。
 ラ……ラララララ♪
「あれ?」
 ネルはハサミを動かす手をピタリと止めました。
「なんだよ、ネル。ムシすんなよ」
「ちがうよ、パンぞう。どこかから歌が聞こえない?」
「うた?」
 ラララララ♪ きょうはとってもとくべつな日♪ 夢見てたことがかないそうな日♪
「とってもキレイな女の子の歌声。この下でコンサートでもやってるのかな?」
 ネルが地上をながめたそのときです。
「わぁっ!」
 赤、青、みどり、きいろ……いっせいにカラフルなふうせんが空に舞い上がりました。
「わわわわ!」
 たいへん! パンぞうが風にふかれて、空飛ぶふうせんたちのなかにまぎれこんでしまいました。
「た、たすけてくれぇ、ネル!」
 パンぞうのからだは、サッカーボールのようにコロコロとまっさかさま。
「たいへん、なんとかしないと!」
 ネルは一生けん命パンぞうを探します。

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