ふたりはミラクルエンターテイナー!

6.

 ホントだ! でも、どうして、あんなところに?
 ネルは、ゆっくりとお城の窓に近づいてみました。
 すると――。
「ばあっ!」
 パッと布が消えて、かわりに見覚えのある顔があらわれました。
「きゃあっ、ビックリした……って、あなた、さっきの?」
 アイドルの子だ!
 ネルに、女の子はニコニコほほえんで。
「そうよ。また会ったわね、おふたりさん」
「キミ、さっきはありがとな。でも、どうしてこんなトコにいんだよ? それに、ゴーカなドレス着てるし。それ、新しいステージいしょうか?」
 パンぞうが首をかしげると、女の子は
「だってここ、あたしのうちだもの。これはふだん着よ」
 と、キッパリと答えました。
「ドレスがふだん着!? そんなの、まるで――」
 ネルは、ハッと女の子の顔を見つめました。
 女の子は、おどろいているネルをおもしろそうにながめながら、
「ええ、あたしはアウロラ王国のプリンセスなの。よろしくね」
 と、あいさつしました。
 ええっ?
 この子が、クラスメイトのみんなが言ってたアウロラ王国のプリンセス!?
 まるでカミナリに打たれたようなショックを受けているネルとパンぞうに、モエは
「ねぇ、あなたたち。この布が必要なんでしょ?」
 と、たずねます。
「うん、そうなの! わたしたち、その布でドレスを作る予定なの!」
 ネルは、コクコクとうなずきました。
「へぇー、ドレスをねぇ……いいわ、返してあげる」
 モエはネルのほうに布を差し出そうとしました。
「ただし」
「ただし?」
 ネルとパンぞうが不思議そうに顔を見合わせます。
「そのかわり、あたしもいっしょに連れてって! プリンセスの命令はぜったいよ!」
 モエはとびきりまぶしい笑顔をふたりに向けました。
 えっ、モエさんもいっしょに!?
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