雨の日、君に恋をした

第2話 スイーツみたいに甘く


晴人のおすすめのカフェのパンケーキは、本当に美味しかった。
フルーツがたくさん乗ったものもあったけれど、ひなはバターとシロップがかかったシンプルなパンケーキを選んだ。
口に入れると、甘くてふわふわで、食べ終わるのが少し惜しくなるくらいだった。

その後も私たちは、何度か二人で出かけた。
あんみつ、クレープ、チーズケーキ……。
彼が選んだお店のスイーツはどれも美味しくて、食べるたびに笑顔があふれた。

「本当に美味しそうに食べるね。その顔が見られて、今日も僕は幸せです」

微笑む晴人の横顔を見上げると、私の胸もふわりと温かくなる。
帰り道、並んで歩く足取りも軽く、自然と笑みがこぼれた。

「また美味しいお店探すから、一緒に行ってくれる?」
「私を太らせようとしてます?」

「ころんころんになったひなも可愛いよ、きっと」
「そうなったら、責任取ってくださいね」

ははは、と二人で笑った。
そんな冗談も言えるくらい、私たちは自然に仲良くなっていた。

夕暮れ時、オレンジ色の光に照らされて、二人の影が揺れる。

「これからも一緒に美味しいもの食べよう。色んなところに行って、たくさん笑おう」

ポンッと、ひなの頭に晴人の手が優しく触れた。

「だから、僕と付き合ってくれる?」

「え……?」

時が止まったかと思った。胸が高鳴る。

「お店じゃなくて……?」

「うん。好きだよ。ひなのことが。
ひなはどう思ってる?」

触れられた頭が、熱い。

「私も、です」

声が震く。そんな私を、晴人は優しく抱きしめた。

「よかった……!ありがとう」
「こちらこそ、ありがとう」

「これからもよろしくね」
「よろしく……です」

こんな日々がずっと、続きますように。
私たちは自然と手を繋いでいた。
その手の温もりが、心まで満たしてくれる。
くっついた腕が、愛おしくて、少しも離れたくなかった。

「どんなひなも好きだから、安心して食べていいからね」
「ちょっと、フラグ立てないで!」

二人で、ははは、と声を出して笑った。

「幸せにするね」

こんな日々がずっと、続きますように。
繋いだ手の温もりが、心まで満たしてくれる。
くっついた腕が、愛おしくて、少しも離れたくなかった。

夕暮れのオレンジ色に染まる街を、二人並んで歩きながら、私はそっと笑った。
心の奥で、あの雨の日の出会いと、ポーチの中のいちごミルクの飴を思い出す。
あの日も、今日も、きっとこれからも――
全部、私たちの幸せの始まりだったのだと。
< 3 / 27 >

この作品をシェア

pagetop