私の婚約者は隠れSP!? 〜毎日が甘くて溶けそうです〜
やがて、彼は小さく頷き、こう言った。
「これから、ゆっくり君を知っていきたい。遥さんがここで安心して過ごせるように」
その言葉は、まるで約束のようだった。政略婚という枠組みを超えて、彼の心が私に向けられている気がした。私は目を閉じ、彼の声に耳を傾けた。優しくて落ち着いたその声は、まるで私の心を包み込む毛布のようだった。
目を閉じても、彼の存在が頭から離れない。こんなにも温かい時間が待っているなんて、朝までは想像もしていなかった。心の奥底で、ほんの少しずつ、彼への想いが芽生え始めている自分に気づく。
それが恋なのか、ただの安心感なのか、まだわからない。でも、この屋敷で、彼と過ごすこれからの日々が、どんな色を帯びていくのか――それを知りたいと思う自分が、確かにここにいた。