推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~
「悠月くん、昼休みにあらためて顔合わせするから、教室で待っててって言ったやん。何で待っててくれなかったん?」
近づいてきた星穏さんは、拗ねたような顔をして、だけどわたしの存在に気づくと、目を見開いてからにっこり笑いかけてくれる。
「紗南ちゃんやん! 今朝ぶりやな」
「は、はい。こんにちは」
――うわわわ! 推しがまた話しかけてくれたよ……!
ドキドキする胸の辺りを抑えながら照れていたら、遅れてやってきた七海有栖さんと元宮潤さんが、悠月に話しかける。
「こ~んなところにいたんだね」
「もしかして、今日の昼休みに迎えに行くって話を忘れちゃってたのかな?」
この場にいる皆の視線を集めている悠月は、緊張している感じもなく、しれっとした顔で答える。
「おれは教室で待ってるなんて、一言も言ってません。それに、メンバーに入るとも言ってない。アイドルをやる気もないです」
「えっ、ウソやろ!?」
悠月がピシャリと新メンバー加入を否定すれば、星穏さんは、あからさまにショックを受けた顔をしている。
七海さんは「わ~お」って面白そうな顔で笑っているし、元宮さんは何を考えているのか分からない表情で微笑んでいる。