推しのマネージャー(※ほんとは護衛)になりました。 ~アイドルたちの溺愛がとまりません!~
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「……遅い」
ソファに腰掛けて休憩していた悠月が、不機嫌たっぷりの声でつぶやいた。
「確かに、紗南ちゃん遅いよね。出ていってから、もう二十分は経つのに」
時計を見た潤が、同意するように頷いた。
すると悠月は無言で立ち上がり、扉の方に向かって行く。
「ゆづちゃん、どこ行くの?」
「紗南を迎えに行く」
「あは、やっぱりねぇ」
有栖がそう尋ねれば、予想通りの答えが返ってきた。
「……何だか、嫌な予感がする」
悠月はポツリとそう言うと、部屋を飛び出していった。
すると、星穏もその後を追いかけるように部屋を出ていこうとする。
「えっ、星穏も行くの?」
「おん! おれも紗南ちゃんが心配やからな!」
バタバタと走っていた二人を見て、潤と有栖は顔を見合わせる。
「……俺たちも行こうか」
「そうだねぇ。皆に愛されてる、おれらのマネージャーちゃんを迎えにね」
クスリと笑った二人も、ソファから腰を上げ、星穏たちを追いかけたのだった。