私が魔法使いに!

私が魔法使いに

登場人物
夏空 望(なつぞら のぞみ)この物語の主人公
佐野 光(さの ひかり)望のルームメイト
①不思議な手紙
私、夏空望は今、魔法女子中・高等学校(以下:魔法学校)の寮の前にいる。なぜここにいるかというと約三か月前にさかのぼる。今から約三か月前の新年が始まる少し前、私宛に手紙が届いた。「夏空望さんへ。突然のお手紙失礼いたします。あなたには魔法使いの素質があります。よって魔法学校中等部に4月から御入学いただき、魔法を学んでいただきたいです。なお、入学の少し前に寮に入っていただくため、3月26日に迎えのものが来ます。なので、それまでに荷物をまとめておいてください。また、この手紙も一緒に持ってきてください。入学してくることを楽しみにしています。魔法学校、校長ジョージ・ロバート。」と書いてあった。迎えのものが来るという書き方から、どうやら拒否権は無いようだったが、拒否する理由が私にはなく、入学の許可をもらうために、パパとママに手紙を見せた。二人はあっさり入学の許可を出してくれた。許可をもらった私は、わくわくしながら入寮日を待った。三学期の授業とテストが終わり、春休みに入り、私は入寮のための準備を始めた。
②いざ魔法学校へ
3月26日になり、午前10時頃インターホンが鳴った。出るといかにも執事という服装をした男性が立っており、「夏空望様ですね。私は校長の秘書のセージと申します。お迎えに上がりました。運転手に手紙を見せ、お車にお乗りください。」と言われた。男性の指し示すほうを見ると私の家の前に、リムジンが止まっていた。私は、驚きながらも荷物を詰めたトランクを持ち、リュックを背負って両親に「行ってきまーす。」と言って家を出た。そして、言われた通り運転手に手紙を見せ、車に乗り込んだ。中に入ると私と同じくらいの年齢の女の子がもうすでに5人くらい座っていた。しかし、不思議なことに、全員目隠しをしていた。そして、執事さんが戻って来ると私に目隠しを手渡した。「個人情報保護のため、目隠しをお願いします。」と言われた。私は、「個人情報?」と聞き返すと、「これから先の家でも何人か乗せますが、その人たちの住所をバレないようにするためです。」私は納得して目隠しをした。そこから何度か停車しながら少しづつ女の子が乗ってくるのがわかった。しかし、5人ぐらい乗ってくると私の意識は闇に落ちた。
③寮生活開始
どのくらい時間が経ったか分からないが、私は目を覚ました。5分ぐらいすると車は止まり、「目隠しを外してください。」と言われた。外すと前には立派な建物が建っていた。車から降りると寮母と名乗るおばあさんが出てきた。おばあさんは、私たち一人一人に寮の規則が書いてある紙と、部屋番号の書いてある鍵を渡した。私が渡された鍵には217と書いてあった。私たちは、鍵に書いてある部屋番号を見ながら各自、自分の部屋に向かった。部屋はそこまで広くない部屋にベッドと机、椅子がそれぞれ2つづつ置いてあった。どうやら2人部屋のようだ。私は向かって左側のベッドの上に自分の荷物を置いて、荷解きを始めた。20分ぐらいで荷解きが終わり、最初に渡された寮の規則を読もうとした時、部屋のドアが開き女の子が入ってきた。女の子は私を見るなり、「初めまして。私は佐野光です。光と呼んでください。よろしくお願いします。」と深々と頭を下げてきた。私もそれに続き、「夏空望です。望って読んでね。こちらこそよろしくお願いします。」と頭を下げた。互いに挨拶が終わると光ちゃんは、右のベッドに荷物を置いて荷解きを始めた。私は、寮の規則を読み始めたあ。ちょっと気になったのが、家に戻れるのが長期休みだけどいうところだったが、よく考えたらどうやって帰るかも分からないため、帰ることができないと分かった。最初はぎこちなかったが、徐々に話すことも増え、食堂で晩ご飯を一緒に食べるなどをして、仲良くなり、入学式を迎える前には、2人一緒に行動することが増えていった。
④入学式
ついに4月1日の入学式を迎えた。私は光と一緒に寮を出て、学校に向かった。5分くらい歩くと教会のように高く、立派な建物があった。どうやらこれが学校のようだ。私達は、看板の案内に従い、入学式の会場となっている体育館に入った。私達は隣に座り、喋りながら入学式が始まるのを待った。20分ほどして入学式が始まった。最初は定番の校長の話からだった。壇上に30代ぐらいの人が上がって話し始めた。「皆さん、魔法学校中等部への入学おめでとうございます。本学校長のジョージ・ロバートと申します。皆さんは、魔法の才能があると認められた選ばれし存在です。そのことを大いに誇りつつ自覚をもって勉学に魔法に部活に大いに励んでください。皆さんの活躍を期待しています。」と少し話すだけで壇上から降りて行った。私は校長を見て、若いことに驚いたが、それ以上に話が短いことに驚いた。それからも入学式は続き、主な校則の説明や教員の紹介などがあり、終わると2時間が経っていた。さらにそのあとは各クラスに分かれて自己紹介があった。私たちはクラス分けの表が張ってある体育館の後ろに向かっていった。
⑤自己紹介
クラス表を見て、私は驚いた。名前が50音順に並べられているものだと思っていたが、部屋番号の順番で割り振られていて名前が一つも書かれていないのだ。光ちゃんと同じクラスになれたのはよかったが、この中学校は一学年100人ほどしかいない生徒を番号で管理しているのかと思うほど、適当に思えた。教室に入り黒板を見ると、黒板にも名前はなく、部屋番号で書いてあった。そして私は217号室の左のベットで217ー1、光ちゃんは同じ部屋の右のベットだから217ー2と書いてある席に座った。周りを見ると同じ部屋同士で固まっているせいか話し込んでいる人が多かった。私たちの席も前後だったため、光ちゃんと談笑をした。少しして20台後半ぐらいの女性の先生が入ってきた。先生が、入ってきたのに気が付いた私たちは話をやめて、一斉に先生のほうを向いた。最初に先生から入学に対する祝辞があり、「アンナ・サンクスです。担当教科は数学です。1年間よろしくお願いします。」と自己紹介があり、全員に自己紹介シートが配られた。そこには部屋番号、名前、誕生日、血液型、趣味、特技など当たり前のことしか書いてなかった。私体は先生から3分間与えられ、みんな一斉に書き始めた。3分たち、左側の人から自己紹介が始まった。この教室には、寮の2階に住んでいる18部屋36人がいて、私は最後から4番目だ。私はドキドキしながら、順番を待った。ついに私の順番がやってきたので、椅子から立ち上がり大きな声で自己紹介をした。「217号室の夏空望です。誕生日は7月17日、血液型はB型、趣味は読書、特技は一輪車です。よろしくお願いします。」と代わり映えの無い自己紹介をして、椅子に座った。その後も問題なく終わり、今日は解散となったため、私は光ちゃんと寮に戻った。
⑥授業
入学式の翌日から、授業が始まった。最初は数学や国語など、主要5科目の中学生が学ぶべき、基礎的な教養から始まった。私は授業を受けていて、退屈だった。昔から勉強は好きではなく、楽しみにしていた魔法の実技は、中間テストが終わってからと言われたからだ。そんなことを考えつつ、一日目の授業を終えた私は、今日から始まる部活を体験しに行くことにした。
⑦部活
私は、一輪車クラブに入った。最初にどのくらいできるかを評価され、そこから初心者クラス、初級者クラス、中級者クラス、上級者クラスの4つのクラスに分けられる事を説明された。結果、私は上級者クラスに分けられる事になり、嬉しかった。私は、体験して、本入部を決めた。入部して1週間経ち、先輩との仲も良好で楽しくやっている。一つだけ寂しいのは一輪車クラブの上級者クラスの1年生が私一人だけと言うことだけだ。
⑧大きな壁
退屈な授業を1ヶ月ぐらい受け、中間テストを乗り越えた。ようやく、魔法の実技を習うことができる事にこの先起きることを知らなかった私は胸が躍っていた。最初に魔法の実技の授業で教えられたのは、物体浮遊魔法だ。最初は先生がお手本を見せてくれた。机の上にレンガを置き、それに杖を向け、「ラティーナ。」と呪文を唱え、杖を少しづつ上に持ち上げると机の上に置いてあるレンガが持ち上がったのだ。しかし、重いものは新入生には難しいため、私たちはチョークで実践することになった。周りが浮かせているのを見て私も呪文を唱えたが、何度唱えても浮かばないのだ。結局授業が終わるまで一回も浮くことがなかった。そして授業の最後に先生が、「この物体浮遊魔法は、実技試験を行います。実技試験で魔法が使えないと退学となります。なので、今できない人は、試験までにできるように、練習しておいてください。」と言っていた。私は、退学だけは避けたいと思い、放課後に毎日練習した。しかし、一向にできるようにならなかった。
⑨友情と絆と努力
一向に魔法が使えないままテスト二週間前になっていた。いつも通り、放課後に練習していると光ちゃんが数人の友達を連れて声をかけてきた。「練習手伝うよ。できるようになるように教えるよ。」と言ってきた。後ろにいた友達も「私も教えるよ。」と口々に言ってきた。私は「みんな、ありがとう。」と言って、みんなのいうことを次々実践していった。しかし、一向にできないまま一日一日が過ぎていったが、私はあきらめなかった。退学になりたくない。みんなと離れたくない。その一心で必死に頑張った。そして、テスト3日前、ようやく少し浮かせることに成功した。その瞬間みんな私に抱き着いてきて「おめでとう。」と口々に言ってきた私は「ありがとう。」と言って抱きしめ返した。しかし、うまくいったからと言って私は、練習をやめなかった。そして試験前日には明らかに浮いたとわかるほどに浮かばせることができた。
⑩実技試験
ついに実技試験当日がやってきた。私は緊張でがちがちになっていた。つい3日前に成功したばかりで、失敗したらどうしようという考えで頭がいっぱいだった。私が緊張しているのが分かったのか、光ちゃんが声をかけてきた。「大丈夫、大丈夫。あれだけ練習したんだよ。望ちゃんなら絶対できる。自分に自信をもって。」と優しく言ってきた。私はその言葉で自信を持つことができ、「光ちゃん、ありがとう。もう大丈夫。」と言って、試験に臨んだ。私の番が来て、私は先生の前に立った。先生の「始め。」の合図とともに、私は力強く「ラティーナ。」と叫び、杖を上に持ち上げた。するとチョークは完全に浮いた。先生に「そこまで。望さん、合格。」と言われ私は嬉しくて飛び上がってしまった。試験が終わり、みんな揃って一学期を終えることができて、本当に良かったと心から思った。これから先もこの学校のメンバーが一人も欠けることなく魔法を学び続けられたらいいなと思った。
< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

現役高校生魔女の異世界研修
たいき/著

総文字数/6,488

恋愛(学園)1ページ

表紙を見る
マジカルスターガール
たいき/著

総文字数/0

ファンタジー0ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop