魔女のリリア~世界で一番美味しいプリンを探して~
世界で一番美味しいプリンを探して

次の日、白薔薇が咲き誇る小さな庭にケーキが届きました。白薔薇の蜜がたっぷり入った、優しい甘さのクリームでデコレーションされたホールケーキ。それを小さく小さく切り分けてお茶会をする雪のような妖精たちの姿が見えたとか。

しばらくするとスノーローズ村のお菓子屋さんは営業を再開。村の人がお菓子屋さんに押し寄せて、結局リリアがスノープリンを食べることが出来たのは一番最後でした。

スノーローズ村の名物、スノープリン。
驚くほどに真っ白で、口にすると雪のように溶けていく魔法のようなプリンはとても美味しくて、リリアはもう一つプリンを注文しました。

使い魔のココアは猫用のケーキを食べて、満腹になりご機嫌です。お腹いっぱいになったココアはリリアの足下ですやすやと眠りについています。

「リリアさん、スノープリンお待たせいたしました」

「ありがとうございます! スノープリン、本当に美味しいです!」

「ありがとうございます。こうしてプリンを作れるのもリリアさんのおかげです。何かわたしにできることがあれば何でもおっしゃってください」

リリアは考えました。
プリンをもう一つ食べようかと思いましたが、膨れたお腹を見てさすがに食べ過ぎかもしれないので、我慢をしました。
そして、一ついいことが思い浮かびました。

「店長さん、プリンが美味しいお店を知りませんか?」

「うーん。そうだなあ、確か山の麓にある村に変わったプリン……そうだ、確かドラゴンプリンというのがありますよ」

「ドラゴンプリン!?」

リリアは店主の言葉を聞いて勢いよく立ち上がりました。

「山の麓……具体的にどこにあるかわかりますか?」

「これ、地図です」

「ありがとうございます! ココア、起きて! 新しいプリンの情報ゲットだわ!」

リリアの大きな声に、ココアはぱちりと目を開けました。

「店長さん、お会計お願いします!」

「は、はい。もしかして今から行くんですか?」

「はい! 美味しいプリンが待ってますから!」

急いで会計を済ませたリリアは、驚いた表情の店主ににこっと笑いかけました。
リリアの肩へピョンと飛び乗ったココアに、行くよ、と声をかけ出口へと向かいます。
そして、ドアノブへ手をかけたリリアに店主は声をかけました。

「リリアさん、またのお越しをお待ちしています」

明るい表情を浮かべた店主に、リリアは微笑みかけました。

「はい、またいつか美味しいプリンを食べに来ます」

その日、リリアはスノーローズ村を旅立った。
いつものほうきで悠々と空を飛び回る。

「ココア、地図ちゃんと見て」

「見てるよ。リリアこそ、ちゃんと前見てよ。危ないから」

「わかってるわかってる。よーし、山の麓の村まで安全運転で行くわよ~」

世界で一番美味しいプリン。
それを食べる日を夢見て、リリアは今日も世界中を飛び回る。

カラメル色の髪の魔女、リリアの旅はまだまだ続く。


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