反抗期の七瀬くんに溺愛される方法
第17章 私の王子様
 大部屋では、凛やクラスの女子たちとワイワイ話していた。
 笑い声が飛び交い、夜の空気も手伝って楽しげな雰囲気に包まれている。

 でも、私の胸の奥はぽっかり穴が空いたままだった。

 笑わなきゃ、楽しそうにしてなきゃ――そう思うほど、心は沈んでいく。

「小春、なにボーッとしてるの?」
 凛が笑いながら肩を軽く叩く。

「ううん、ちょっと飲み物買ってくるね」
 軽く会釈して立ち上がると、自然に部屋を抜けた。

 誰かの視線を背中に感じつつも、少しでも一人になりたかった。

 廊下に出ると、夜風が肌を刺すように冷たく、心のざわつきと混ざって身震いする。

 外を見ると、急に降り出した雨が窓ガラスを叩き、強さを増していた。

 水滴が光に反射してきらきらと揺れ、心のざわめきを一層強くする。
――ここなら、少し落ち着けるかもしれない。

 そう思ったその瞬間、館内の明かりが全て消えた。
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