反抗期の七瀬くんに溺愛される方法
第11章 輝いた日常の中で
 カーテンの隙間から差し込む朝日が、部屋の中をやわらかく照らしていた。
 小鳥の鳴き声が聞こえてくる。

「なつくん、もう朝だよ〜」
 隣の家の玄関を軽くノックしてから、慣れた足取りで夏樹の部屋に入る。

 ベッドの上では、夏樹がいつものように布団をかぶって眠っていた。
 静かな寝息。整った横顔。
 その顔を見た瞬間、小春の胸がふわっと熱くなる。

 ――昨日のこと、思い出しちゃうじゃん……。

 口の中で小さく呟きながら、頬がじんわり赤くなる。
 あの帰り道。夕陽の下で聞いた「好きだよ」の言葉。
 思い出すだけで、心臓がまたトクンと跳ねた。

「……いつ見ても、かっこいいなぁ……」

 両手で頬を軽く押さえてから、そっと夏樹の顔を覗き込む。まつげの影、穏やかな寝顔。

「もう、恥ずかしいよ〜……」

 こうして見ると、やっぱり少し大人っぽくなったな、なんて思ってしまう。

「……おはよう、なつくん」
 小さな声で囁く。
 でも、反応はない。

「今日は、私の勝ちだね」
 そう言って、得意げに微笑む小春。
 
 その瞬間――。

「……は?」
 低い声が返ってきた。

「えっ!? 起きてたの!?」
 小春が驚いてのけぞると、夏樹が布団をずらして顔を出す。
 少し眠たげな目で小春を見上げ、意地悪そうに口角を上げた。
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