もしも、あっちの部活を選んだら?
「竹口さん、いくよ!」
東先輩がエンドラインギリギリを狙った高めのサーブを打つ。
軌道が高く、スマッシュが狙えない。
相手のコートに向かって何とかシャトルを返す。
ここがチャンスとばかりに東先輩が仕掛けてくる。
いつもだったらここで強烈なショットを放ち、カウンターを狙う。
一度攻撃に回ったらひたすら攻めてポイントを取るのが私のスタイルだ。
それなのに、この私が防御に回るなんて。
このループから全然抜け出せない……。
しまった。つい、力が入りすぎた。
ふわりと宙に舞ったシャトルを東先輩は叩きつけるようにラケットを振った。
私と逆方向に向かって飛んできたシャトルがことんと床に落ちた。
東先輩の二十一点目。私の負けだ。
「すごい、東先輩が竹口に勝った!」
「竹口が負けるところ初めて見たかも」
東先輩の勝利に体育館が喜びの歓声に包まれる。
まるで勇者が魔王を倒したみたいな、そんな雰囲気だ。
この私の不敗神話が崩れてしまった……。
試合が終わった途端、溜まっていた疲労感に襲われガクッと膝から崩れ落ちた。
「竹口さん、お疲れさま」
東先輩が崩れ落ちた私に手を差し伸べる。
「とてもいい試合だったね。竹口さんに勝てて嬉しいよ」
無邪気な笑顔が憎らしいくらいに輝いて見える。
「初心者とは思えないくらいシャトルの動きが読めているしショットを切り替えるテクニックもある」
「それ嫌味ですか?」
負けた悔しさで思わず尖った言い方をしてしまう。
でも東先輩は「そんなつもりはないよ」あっさりと受け流す。
「竹口さんはバドミントンの天才だ。だけどね、弱点もあるんだよ」
「弱点?」
東先輩の言葉がにわかに信じられない。
天才の私に弱点なんてあるはずがない。
「竹口さん、最近トレーニング、手を抜いているよね」
東先輩の静かな言い方にドキッとする。
怒っているわけじゃないのが、余計に少し怖い。
「トレーニング不足でまだ体の筋肉が竹口さんのセンスについてこれてないんだ。だから連続で試合を続ける体力が追いついてない。それが竹口さんの弱点だ」
一言一言がズキズキと刺さる。
才能されあれば練習やトレーニングなんて必要ないと思ってた。
それがこんな結果を招くなんて。
「僕はその弱点をついたからこの試合に勝てたんだ」
そう言うことだったのか。東先輩には最初から私の弱点がバレていた。
だから東先輩は前半にラリーを長く続け、体力を削ってきた。
まんまと東先輩の作戦にひっかかってしまった。
でも、それが三年間部活を頑張ってきた東先輩の実力なんだ。
「また今度、試合をしようね」
にこりと東先輩が笑みを浮かべる。
勝者の余裕が滲み出るような笑顔がぼんやりとかすんで見える。
「さ、次の試合をするよ」
コートで倒れ込んで動けないでいると、試合順を並んでいた部員に肩を叩かれた。
声には出さなくても「終わったんだから早く避けろ」と言いたいのが伝わってくる。
バドミントンで負けてしまったら、私には何も残らない。
自分だけが一人、幽霊にでもなったような気分になった。
東先輩がエンドラインギリギリを狙った高めのサーブを打つ。
軌道が高く、スマッシュが狙えない。
相手のコートに向かって何とかシャトルを返す。
ここがチャンスとばかりに東先輩が仕掛けてくる。
いつもだったらここで強烈なショットを放ち、カウンターを狙う。
一度攻撃に回ったらひたすら攻めてポイントを取るのが私のスタイルだ。
それなのに、この私が防御に回るなんて。
このループから全然抜け出せない……。
しまった。つい、力が入りすぎた。
ふわりと宙に舞ったシャトルを東先輩は叩きつけるようにラケットを振った。
私と逆方向に向かって飛んできたシャトルがことんと床に落ちた。
東先輩の二十一点目。私の負けだ。
「すごい、東先輩が竹口に勝った!」
「竹口が負けるところ初めて見たかも」
東先輩の勝利に体育館が喜びの歓声に包まれる。
まるで勇者が魔王を倒したみたいな、そんな雰囲気だ。
この私の不敗神話が崩れてしまった……。
試合が終わった途端、溜まっていた疲労感に襲われガクッと膝から崩れ落ちた。
「竹口さん、お疲れさま」
東先輩が崩れ落ちた私に手を差し伸べる。
「とてもいい試合だったね。竹口さんに勝てて嬉しいよ」
無邪気な笑顔が憎らしいくらいに輝いて見える。
「初心者とは思えないくらいシャトルの動きが読めているしショットを切り替えるテクニックもある」
「それ嫌味ですか?」
負けた悔しさで思わず尖った言い方をしてしまう。
でも東先輩は「そんなつもりはないよ」あっさりと受け流す。
「竹口さんはバドミントンの天才だ。だけどね、弱点もあるんだよ」
「弱点?」
東先輩の言葉がにわかに信じられない。
天才の私に弱点なんてあるはずがない。
「竹口さん、最近トレーニング、手を抜いているよね」
東先輩の静かな言い方にドキッとする。
怒っているわけじゃないのが、余計に少し怖い。
「トレーニング不足でまだ体の筋肉が竹口さんのセンスについてこれてないんだ。だから連続で試合を続ける体力が追いついてない。それが竹口さんの弱点だ」
一言一言がズキズキと刺さる。
才能されあれば練習やトレーニングなんて必要ないと思ってた。
それがこんな結果を招くなんて。
「僕はその弱点をついたからこの試合に勝てたんだ」
そう言うことだったのか。東先輩には最初から私の弱点がバレていた。
だから東先輩は前半にラリーを長く続け、体力を削ってきた。
まんまと東先輩の作戦にひっかかってしまった。
でも、それが三年間部活を頑張ってきた東先輩の実力なんだ。
「また今度、試合をしようね」
にこりと東先輩が笑みを浮かべる。
勝者の余裕が滲み出るような笑顔がぼんやりとかすんで見える。
「さ、次の試合をするよ」
コートで倒れ込んで動けないでいると、試合順を並んでいた部員に肩を叩かれた。
声には出さなくても「終わったんだから早く避けろ」と言いたいのが伝わってくる。
バドミントンで負けてしまったら、私には何も残らない。
自分だけが一人、幽霊にでもなったような気分になった。