もしも、あっちの部活を選んだら?
中学生活、リスタート?

一年生に戻ってる?

「美優、制服なんか着て何しているの?」

「制服着てって、中学生になったんだから当たり前じゃない」

あれ、私、部活の練習試合のために電車に乗ってなかった?
そして、電車の中で寝ちゃって……。

でも、明らかにここは電車の中なんかじゃない。私たちの通う中学校だ。

ふと袖を見ると私もピシッと制服を着ていた。
入学したての頃みたいに、何だか少し息苦しい。

「さっきまで運動着を着てなかった? 部活の練習試合に向かってて」

「もう真澄ったら何を言っているの?」

ふふふと美優が楽しそうに笑う。

「夢でも見てたんじゃない? 真澄は入る部活決めてないでしょ?」

そういえばそうだ。私は興味がある部活がいっぱいある。

「夢の中で真澄は何部だったの?」

「あれ、何部だっけな」

練習試合ってことは運動系の部活だよね。
あれは何の試合に行くところだったんだろう。

電車に乗ったのは覚えているけど、どこに向かったのか思い出せない。

「でも、もう一年くらい部活をしてた気がするんだけどな」

「きっと中学が楽しみすぎて楽しい夢を見てたんだね」

なんか、そんな楽しい夢じゃなかった気がするんだけど……。

えー、一体何がどうなっているの?

「なんだよ、また真澄と一緒かよ」

苦々しい顔をした腐れ縁のコウが私を見てきた。

うわ、中学校になっても同じクラスなんだ。
これで連続七年間一緒のクラスだ。

「真澄と一緒なのも飽きてきたぜ」

「それはこっちの台詞なんですけど」

誰が好きでコウと一緒のクラスになっていると思ってるのさ。

「やっぱり二人は仲がいいね」

美優は変なこと言ってるしさ。
よし、ここははっきり言っとかないと。

「誰がこんな奴と仲がいいのさ」

うわ、最悪。
私とコウの言っていることがハモっちゃったよ。

もう、マジありえないんですけど!

「二人とも面白いな」

美優だけが一人、楽しそうにケラケラ笑っていた。
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