もしも、あっちの部活を選んだら?
放課後、運動着に着替えると、急いでグラウンドに向かった。

今日から部活がスタート。

久しぶりにテニスができると思うとちょっと緊張。
うきうきとスキップしたい気持ちを抑えて、テニスコートに到着。

ってあれ?

「な、なんでコウがいるの?」

腐れ縁のコウがテニスコートで先輩たちと楽しそうに話していた。

「あれ、真澄もテニス部なのか?」

「真澄もって……え、コウも?」

嘘でしょ、信じられない。

コウと部活まで一緒になるなんて。

七年間クラスが一緒なだけでもうんざりしてたのに。

「コウってバスケ部に入るんじゃなかったっけ?」

「俺そんなこと一度も言ってないぞ」

あれ? 私の中で勝手にコウはバスケ部だと思っていた。
美優とバスケ部の見学に行ったとき、コウもいたからかな。

私の勘違いか。

「真澄と違って俺はどんなスポーツでもできちゃうけどな」

くっ、腹立つ!

コウがスポーツなら何でもできるのが余計に腹立つんだよね。

「テニスで困ったことがあればいつでも俺が教えてやるよ」

「別に、コウに教えてもらわなくても上手くなるし」

「おいおい、今年の一年生は元気がいいな」

うわ、先輩たちに私とコウの喧嘩がばっちり見られてた。

「いや、これは喧嘩じゃなくて、私たちただの腐れ縁で……」

ハッとコウと目が合う。
もう、最悪。

私とコウの声が残念なくらいぴったりハモってしまった。
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