壁の中の彼氏
 倉庫から運び出そうとした箱を落としてしまい、そのはずみでガムテープが少し剥がれたのだ。
 中には白いハッポウスチロールが詰め込まれていて、冷気が流れ出てきている。
 俺は慌てて倉庫の中に箱を持って戻り、ガムテープを貼り直すことにした。
 ガムテープを貼り直すだけなら、中身を見なくてもできる。
 でも……。
 好奇心が動いた。ほんの少し。ちょっとだけ。
 この発泡スチロールの中になにが隠されているのか気になった。
 倉庫の中にはいつでも自分一人しかいなかった。
 他にバイトをシている人間はいないようで、 荷物の数もそれほど多くはない。
 もし面白いものが入っていればそれは小説のネタにもなる。
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