壁の中の彼氏
 警察は骨に残った肉片の腐敗臭に気がついたのだろうと、解釈したようだった。
 骨を発見したのが何度かコンテストで入賞経験のある亜美だったことで、世間は事件に大いなる関心をよせた。
 天才小説家の家に埋め込まれていた骨。
 そうしたセンセーショナルな見出しが新聞や雑誌を賑わせた。
 亜美が今まで受賞してきた作品は再注目を浴びて、短編小説は他の作家たちに混ざって文庫として発売されることも決定した。
 長編小説の方も、近いうちに発売される予定だ。
 だけど、亜美には譲れないことがあった。
「私のデビュー作はこれにしてください」
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