【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私

5.

* * *

 リネットを一日かまって、彼女という人となりがなんとなくつかめたような気がする。
 とにかく覇気がない。流されて生きているような、むしろ生きることに投げやりになっているような、そんな印象を受けた。
 まず人の目を気にしない寝間着。あれは駄目だろう。ラウルが同じ部屋にいるのだ。昨夜はできるだけ気にしないように視線を背けていたが、これが毎日となればいろいろ問題がある。呪いなのか本能なのか、わからなくなる。
 彼女との昼食を終え、どうしたものかと書類片手に悩んでいたら、第七騎士団付きの侍女が遠慮がちに部屋に入ってきた。どうやら洗濯メイドから報告を受けたとのことで、リネットに関する内容だった。まして下着の話となれば、本当にどうすればよいのか。
「ハリー団長の恋人は、まともな下着を持っていないと、そんな噂が立ってしまいます……」
 侍女が遠慮がちに口にする。
 ヒースが言ったように、リネットとの仲は周知されつつあるようだ。
 その結果、そんな弊害があるとは。
 つまり恋人同士になったら、相手の身だしなみにも気を配る必要があると、侍女はそう言いたげだった。
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