【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私

3.

 研究室に入れば、先に来ていたエドガーがにやにやしながら「おはよう」と声をかけてきた。
「おはようございます」
 葡萄色の帽子を脱いだリネットは、魔法院のローブを羽織る。
「リネットが二日続けて朝から来るなんて……明日は槍が降る」
 お~こわこわと、今日も自分の身体を抱きしめるような仕草をするエドガーを睨んで、リネットは席に着く。エドガーのこの反応は今に始まったことでもない。だから、無視するに限る。
「リネット。今日はいつもと髪型が違うわね。とうとうおしゃれに目覚めた?」
 やはりこういった細かいとこは女性のほうがめざとい。
「違います。これも団長さんが……」
 恥ずかしくなりラウルのせいにしようと思ったが、すぐにエドガーが反応する。
「え? なに? あの団長さん。髪の毛までいじれちゃうわけ?」
「図書館に行ってきます」
 これ以上ここにいれば、エドガーからあれこれ突っ込まれそうだ。それから逃げるようにして、リネットはさっさと図書館へと向かうことにした。
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