【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 ラウルはリネットが逃げないように、がっしり肩を掴む。
「はい。薬を飲んでぐっすり寝たからか、頭がすっきりして……。それで、いつものように団長さんの呪いについて、まとめていました」
「そうか……てっきりここで眠っているものだと思っていたから、姿が見えなくて焦った」
「ごめんなさい」
 リネットがしゅんと肩を落とせば、ラウルも少し焦ったのだろう。「それよりも」と話題を変えた。
「お腹は空いていないか? 何か食べやすい物がいいかと思って、果物も用意した」
「お昼に、シーナさんとお外で食べてきたんです。以前、団長さんと一緒にと行ったあの煮込み料理のお店」
「ああ、あそこか。あそこはここから近いからな。それに美味しい。利用する者も多いんだ」
 そう言いながらも、ラウルの表情はどこか寂しそうにも見えた。
「そして、お昼ご飯を食べてから頭が痛くなっちゃって。あとは戻ってきてずっと寝ていたので……」
「お腹が空いていないと? 君はいつもそう言ってばかりだ」
「いえ……寝ていたわりにはお腹が空きました。でも、量はあまり食べられそうにないです」
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