【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私

5.

 ゆっくりと息を吐いたラウルは「そういうことかもしれない」と答える。
「俺にとって、君は特別な存在だ。それを好きというのなら、好きなのだろう」
「なるほど。そういうことなら、私も団長さんが好きだってことなんですかね?」
「ん?」とラウルが聞き返す。
「私にとって団長さんは特別な存在です。呪いを解かなきゃいけないのに、呪いを解いたら一緒にいられなくなるって考えたら……」
 リネットの胸が痛くなったのだ。今だって、ずきずきと痛む。
 言葉も続かなくて、葡萄酒を飲もうと手を伸ばしたところ、それをラウルに奪われた。
「あ、団長さん。何をするんですか」
「君が、いいところで話を終えるからだ。なんなんだ、この焦らしは。続きを言うまで、これはやらない」
「そんな」
 葡萄酒のせいもあって気分も高揚しているリネットは、むっと唇をとがらせラウルを見上げた。
 するとラウルがちゅっと口づける。
「あ、なんでキスするんですか。おはようのキスの時間ではありません」
「これは、おはようのキスではない」
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