【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 残念ながらスサ小国には、アルヴィスに釣り合う王族の女性はいなかった。唯一残っていたのは、当時、十四歳だったリネット。しかし、キサレータ帝国では未成年に手を出してはならない決まりがある。それでもスサ小国の人間は手に入れておきたかった。未成年であっても、時さえ満ちれば条件を満たす。
 だから将来を見越して彼女を手に入れたのだ。
「リネットを連れ戻すか……」
 ファミルのこめかみがひくっと動いた。
「魔法具の威力も落ちてきたようだしな」
 リネットは五人の側妃の中で、最も魔力が強かった。さすがスサ小国の王族だと、心の中では感心したものだ。
 夜伽の代わりに魔法具を作るよう命じた。もちろんリネットはそれを拒んだが、スサ小国に残してきた家族や国民を脅しの材料に使えば、気弱な彼女はそれを引き受けた。
 リネットが作る魔法具は、生命力を魔力に転換するもの。それにより、魔力を持たないアルヴィスが魔法を使えるように見せかけていた。
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