【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「それとも、妃を入れ替えますか?」
 そうすれば、問題がアルヴィスにあるのではなく妃たちのせいにできる。
 トントントン……とアルヴィスは無意識のうちに、テーブルを指で叩いていた。
「そうだな。そろそろ飽きた」
 彼女たちの目はまるで死んだ魚のように生気が宿っていない。アルヴィスが話しかけてもにこりともせず、黙って服を脱ぐだけ。組み敷いても反応がないのは、ひどく味気ない。
「惜しいことをしたな……」
 ふと記憶の底から浮かんだのは、一年前に手放した最も若い妃だ。身体も小さく、まるで怯えた小動物のようだった。
「リネット妃のことですか?」
「あれはもう、妃ではないだろう」
「失礼いたしました」
 だが、ファミルの言うように、手放したことを後悔したのはスサ小国から連れ去ってきたリネットだ。小さな国ながら魔力を持つ者が多いスサ小国。特に王族はその力が強い。
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