【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「私、ここに来てから、ほとんどを魔法院の中で過ごしていたので……こうやって街を歩くのには慣れていなくて」
 シーナと買い物をしたが、それは官舎から徒歩十分圏内の場所にあるお店。そこは騎士団や魔法院で働く者のために作られた場所でもあり、ちょっとした店や食堂が並んでいる。煮込み料理の美味しい店もこの場にあった。
 だから、大きな通りにこれほどまでたくさんの人がいたら、どこに視線を向けていいかわからない。きょろきょろしながら人を避けて歩く。
「はぁ……人が多いですね……」
 リネットの中には、スサ小国ののんびりとした街しか記憶にない。これほどの人間がどこにいるのかと思えるほど、通りをたくさんの人が歩いていた。
「そうだな。君も知っているように、セーナスもキサレータ帝国の属国の一つだった。だが、前の国王の働きによって、ここは独立した」
 それはキサレータ帝国そのものが弱体化していたのも理由の一つだ。キサレータ帝国は、セーナス王国の独立を食い止めることができなかった。それは戦力的にも経済的にも。
 彼らを武力で抑圧すれば、キサレータ帝国そのものの衰退が目に見えていたからだ。
 だったら、独立を認め、友好国として条約を結んだほうがいいと、前皇帝は考えたらしい。
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