【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「だが、ここはキサレータとはそれほど離れていないだろう?」
 リネットが歩いてこようと思ったくらいだ。国境までであれば馬車で一日程度の距離。
「実はここには、キサレータから逃げてきた者が数多くいる」
 ラウルが声を低くしてそう言えば、リネットもドキリとする。キサレータから逃げてきたのはリネットも同じだ。
「今はまだ、彼らに支援が届いていないのが現状だ」
 それがどこか悔しそうにも見えた。
 と、同時に、同じような境遇にあるリネットが、この国の魔法師として衣食住を与えられているのは、運がよかったと言うべきなのか。
 自分でも気づかぬうちに、少しだけ、足取りが重くなった。歩みが遅くなったリネットを、ラウルは疲れたためだと思ったのか、彼もそれに歩調を合わせてくれた。
 そんな些細なことが嬉しくて、彼と繋ぐ手にぎゅっと力を込める。
 ラウルは黙ってリネットに合わせて歩を進める。すれ違う人を避けながら歩くが、一本脇道に入ったところで人の姿がまばらになった。
「先ほどの通りが大通り。ここは大通りと並行に走っている道だから、小通りと呼ばれている」
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