【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「わかりやすいですね」
「ああ。だが、一般人が歩いていいのはこの小通りまで。もう少し先、脇道にそれる道があるが……その先は裏通りと呼ばれ、治安が悪い。先ほど言った、キサレータから逃れてきたような人たちが、息をひそめて暮らすような場所だ」
 その言葉だけで、リネットは状況を理解した。
 どこも光あふれる眩しい場所には、それと対となる影の場所がある。その影の場所には、家もなく、今日の食事すら不安定な人たちがひっそりと身を寄せ合っているのだ。
「俺はいつかこの国を、そういった者たちも安心して暮らせるようにしたい」
 今度はラウルが繋いでいる手に力を入れた。彼も無意識なのだろう。
「ラウルさんなら、できると思います……」
 リネットも、誰に聞かせるわけでもなく、ぽつりと言った。
 惰性で生きていたようなリネットを気にかけ、手をかけ、ここまで生活改善へと導いてくれた人だ。
「そうか」
 そう呟くラウルの声は、どこか嬉しそうにも聞こえた。
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