【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 リネットの言葉に促されるように、責任者は彼女の向かい側に座った。そして、ヤゴル遺跡の地図を広げ、荒らされた場所を示しながら盗まれた遺物が何かを、一つ一つ説明する。
「この場所が荒らされたのですが、ここは、昔に儀式を行われた場所と言われているのです」
「儀式、ですか?」
「えぇ。ヤゴル地区が昔から呪詛が盛んだったのはご存知ですよね?」
 リネットは小さく頷く。
「その呪詛が行われたとされるのが、この場所なんです。この付近からは呪詛に使われたであろう宝物がいくつか見つかっています」
「もしかして……盗まれたとされているのが、そちらの宝物なのでしょうか?」
「はい。一つは鏡のようなもの。発掘された時点で割れてはおりましたが、まだ鏡としての役割は十分に果たされるような状態です」
 リネットは帳面に、素早く「鏡」と記す。
「それから、腕輪のようなものですね」
「腕輪、ですか?」
「はい。大きさはこれくらいで……」
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