【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 そもそも食堂にまで足を運んで食事をするのが非効率的だ。お腹が空いたら、机の中にある干し芋でもかじっていればいい。ラウルと出会うまではそうやっていたのだから、何も問題ない。
「リネット。おい、リネット!」
「もう、食堂に行きたいなら勝手に行ってください。私は今、いいところなので」
「ダメだ。君はいつもそう言って食事を抜く」
「え? あ、ラウルさん……?」
 くくく……という笑い声の主はエドガーだ。だがリネットはエドガーを無視して、ラウルに声をかける。
「お仕事、忙しいのでは?」
「だが、今は昼休憩の時間だ。きちんと食べて休む時間。ほら、食堂に行くぞ」
「はいはい、行ってらっしゃ~い。僕は、時間をずらして後から行くから、お先にどうぞ」
 エドガーにとっては他人事。ふらりと手を振って見送ろうとしている。
「エドガー殿もそう言っていることだしな。ほら、食堂に行くぞ。歩けないならおぶってやる。それとも抱っこがいいか?」
「どっちもいりません。自分で歩けますから」
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