【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
「あ、うん……多分、ここにいることは知られていないと思うのですが……」
「たまたまだとは思うけど、心配なら師長に相談したほうがいい。団長さんは……当分、忙しいだろうね」
 エドガーの言葉に、コクッと頷いたリネットは、今日もラウルの呪いを解くために、ヤゴル地区の歴史やら何やらを調べ始める。
「毎日『おはようのキス』をしないと発情する呪い」は千年近くも前の呪いだと思って調べていたが、ここにきて近代の、しかもセーナス王国、当時のセーナス地区と合併する頃の呪いではないかということに気がついた。検討違いの時代を調べていたから、解呪方法の手がかりが掴めなかったのだ。
 それがわかったのも、やはり現地に足を運び、現地の資料に触れたのがきっかけだ。
 さらに両片思いのカップルを結びつけるための呪いということを考えれば、必要なものが見え始める。いや、これは呪いというよりは――。
「……ト、リネット!」
 名前を呼ばれたが、リネットは手を振って無視する。どうせエドガーだ。ラウルが忙しくなってから、エドガーが昼食に誘ってくれるようになったが、それがどこか面倒くさいと感じていた。
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