【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
 だから四肢を拘束されているのだろう。これは魔法というよりは薬の影響だ。その効果が薄れれば、動けるようになるのに。
 手足が使えないのであれば、魔法も発動できない。悔しさのあまり、唇を噛む。
 状況は飲み込めた。だが、なぜモアが? その理由がわからない。
 室内の明るさから考えても、今は朝方。ラウルとの「おはようのキス」の時間は過ぎている。彼はムラムラしている。そこにモアが迫ったら――。
 考えたくもない。
 リネットは指先に魔力を集中させた。今は薬で動けないだけ。それを魔法の力で薬の効果を消し去ることはできないだろうか。
「リネット。もう少し寝ていなさい。次、目覚めたときは懐かしい帝国だ」
 アルヴィスがリネットの顔の前に、怪しい小箱を近づけた。そういえば、モアも同じようなものを手にしていたかも知れない。
 眠りの作用がある薬草と身体を痺れさせる薬草。それを混ぜて作り上げた薬だろう。しかし、それは禁忌の調薬ともされている。
 モアにはそんな知識はない。となれば、アルヴィスが教えたか。それもファミルか。
 頭がぼんやりとしてきたとき、バンッ! と勢いよく扉が開いた。
「いくら帝国の皇帝といえども。ここはセーナスだからね。そんな堂々と違法な薬物を使われたら、捕まえないわけにはいかないでしょ。てことで、セーナス王国薬物取締法違反ってことで、いいよね? それ、持ってるだけで法律違反な薬物だから。リネットは使われちゃったかぁ。使用も違反なんだけどなぁ……」
 エドガーの声が遠くに聞こえる。
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