【完結】毎日「おはようのキス」をしないと発情する呪いにかけられた騎士団長を助けたい私
4.
* * *
ラウル・ハリーはセーナス王国騎士団、第七騎士団の団長を務める。
複雑な出生のラウルは、ハリー伯爵家の猶子となった。つまり、相続権を持たない名ばかりの子だ。だから絹糸のような銀色の髪も蒼穹の空を思わせる瞳も、ハリー伯爵夫妻とはまるで似ていない。
それでもラウルにとってハリー伯爵夫妻は育ての親として感謝しているし、ハリー伯爵夫妻もラウルを疎んでいるわけでもない。
彼らはラウルを実子と同じように接し、実子の遊び相手としてちょうどいいとでも思っていたのだろう。
ハリー家の嫡男、イアンは文官として王城で働いている。そんなイアンを守れるようにと騎士を目指したラウルだが、配属されたのは平民が多く集まる第七騎士団。他の貴族子息であれば辞めたくなる掃きだめのような部署だったが、ラウルにとっては居心地のよい居場所でもあった。
何より彼らは飾らない。家族のために騎士であろうとする者か、金のために職務を全うしようとする者たちの集まり。
ラウルも名ばかり伯爵子息だから、実のところ、彼らとさほど代わりはなかった。
ラウル・ハリーはセーナス王国騎士団、第七騎士団の団長を務める。
複雑な出生のラウルは、ハリー伯爵家の猶子となった。つまり、相続権を持たない名ばかりの子だ。だから絹糸のような銀色の髪も蒼穹の空を思わせる瞳も、ハリー伯爵夫妻とはまるで似ていない。
それでもラウルにとってハリー伯爵夫妻は育ての親として感謝しているし、ハリー伯爵夫妻もラウルを疎んでいるわけでもない。
彼らはラウルを実子と同じように接し、実子の遊び相手としてちょうどいいとでも思っていたのだろう。
ハリー家の嫡男、イアンは文官として王城で働いている。そんなイアンを守れるようにと騎士を目指したラウルだが、配属されたのは平民が多く集まる第七騎士団。他の貴族子息であれば辞めたくなる掃きだめのような部署だったが、ラウルにとっては居心地のよい居場所でもあった。
何より彼らは飾らない。家族のために騎士であろうとする者か、金のために職務を全うしようとする者たちの集まり。
ラウルも名ばかり伯爵子息だから、実のところ、彼らとさほど代わりはなかった。